しし座流星群特集

▼いつ?どこに?流星が流れる?
 「18日の未明から朝まで東から天頂の空に注目 」

 漠然と、『11月18日の未明に「しし座流星群」が極大になる』といっても、それは何時なのか? また、星空のどこに流星が流れるのだろうか?
 まずは、この疑問から始めよう。

●流星群の出現予想は難しい
●18日の未明から朝まで東から天頂の空に注目


●流星群の出現予想は難しい

 事前の予報では、しし座流星群の素となる流星素物質の流れが、地球に遭遇するのは、日本時刻で1999年11月18日午前11時ころとされている。そこで、日本においてもっとも出現が豊富に見られると予想されるのは11月17日の深夜から18日の朝にかけてである。流星の出現数は、これも事前の予報では1時間あたり最低でも数十から、数百、もしかしたら数千から数万の可能性もあるとされている。逆に、期待されているほど多くの流星が出現しないかもしれない。
 というように「かもしれない……」というあいまいな予報しかお伝えできないことを、ここであらかじめ断っておかなければならない。日食や惑星と月の接近など、正しくその運行が計算され、秒単位まで予報される多くの天文現象と違い、流星群の出現ほど(彗星の明るさもだが)予報が難しく、また予報を裏切るものはないからだ。

 流星群ごとに性質や予報の精度が違うので、これをそのまま「しし座流星群」にもあてはめるわけにはいかないが、流星群の極大時刻や、その出現数は予測が難しいものだということを前提に、この特集を読んでいってほしい。



●17日深夜から18日朝まで東から天頂の空に注目

 今回、多くの研究者が流星群の極大時刻と予報しているのは、『日本時刻で11月18日の午前11時前後』となっている。この予報だと、極大時刻は日本ではあいにく昼になってしまい、出現のピークを見ることはできないと予測されている。逆に中近東からヨーロッパでは、この時刻が夜にあたるので流星観測に絶好の条件になる。
 しかし昨年1998年には、極大時刻が予報より18時間も早くなり、事前に好条件といわれていた日本の17日の夜には、すでに出現のピークは過ぎていた。そのため出現数はさほど伸びず、逆に比較的条件が悪いとされていた中東からヨーロッパで1時間当たり最大300個もの大出現が観測された。つまり、彗星と地球の軌道要素だけから求めた極大予報の確度はそれほど高くなく、日本時刻の17日夜〜18日朝に極大がずれ込んで来る可能性もある。
 こういったことから、極大予報はあくまでも目安程度と考えておけばよく、世界のどの地域でも大出現のチャンスがあるというわけだ。

○11月18日01時の東の空
18日午前1時

11月17日の宵から18日に日が変わって午前1時となった東の空のようす。ようやく、しし座の全景が東の空低くに現われてくる。放射点高度は20度を越えたあたりで、上方に向かって飛ぶ流星が見られるかもしれない。
流星は月明かりがあると見える数が減ってしまうが、今年の11月18日は月齢9で、夜半に月が沈み、それ以降は絶好の観測条件となる。

○11月18日03時の東の空
18日午前3時

3時になると、しし座の象徴であるレグルスの北側にのびる「?」字を裏返したような星の並びも東の中天にかかり、しし座流星群の放射点の地平高度も50度近くになる。

○11月18日05時の東の空
18日午前5時

5時になると、しし群はすっかり東の空に昇りつめ、放射点高度も70度となる。予報より極大が早まってこの時刻に極大となるとすばらしい眺めとなる。しかし日の出が6時18分に迫り、薄明が始まってしまう。

なお、上の半球図は東京で見た場合の時刻で、大阪ではこの約20分後、福岡では約40分後に同様の星空となる。天文薄明開始は、札幌・東京で4時50分ごろ、大阪で5時10分ごろ、福岡で5時30分ごろとなる。

 次に、どこに流星が流れるかだが、これは「しし座を中心に広い範囲」としか言えない。放射点近くがいちばん出現頻度が高くなるが、放射点が低い場合は、より天頂に近い方に流れることが多くなる。1時から3時にかけては、ふたご座から、しし座あたりの広い範囲を、5時ごろには、しし座から天頂にかけての広い範囲に注目すればよい。しつこいようだが、極大予報時刻はあてにならない。17日の宵には準備を終え、放射点が地平線に顔を出す夜半以降、18日の朝まで連続観測をするつもりで流星群の出現に備えよう。

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