| 
         
      ▼どうやって?流星を見る?撮影する? 
       「楽な姿勢で、肉眼で広い範囲を見る」
       「しし座流星群」を見るポイントは? 写真を撮るにはどうしたらいいのか? ここで実例をあげながら紹介していこう。 
      
        ●流星を見るには肉眼が一番 
        ●眼の感度をアップさせて楽な姿勢で見る 
        ●出現のピークを観測してみよう 
        ●流星を写真撮影する簡単な方法  
       
      ●流星を見るには肉眼が一番
       天文現象の観測というと「望遠鏡が必要なのでは……」と思いがちだが、結論から言うと、流星を見るためには肉眼がもっとも適している。 
       望遠鏡はまったく必要ない。望遠鏡は、天体像を拡大して見るものであって、流星のように、広い範囲の現象を見るには適していないからだ。 
       強いて言えば、視野の広い双眼鏡を用意しておくと、なにかと便利に使える。 
      ○もし双眼鏡があったら、放射点や流星痕を見てみよう
       放射点近くでは、経路の短い流星が見られるので、6度から7度の視野を持つ双眼鏡の視野の範囲内でも、多くの流星を見ることができる。肉眼で4等ほどしか見えていない都市近郊の空でも、7×50や10×40といった双眼鏡なら、7等星あたりまで見え、それだけ暗い流星を見ることができるからだ。 
       もうひとつの使いみちは、流星痕(りゅせいこん)の観測だ。しし座流星群に属する流星は明るいものが比較的多く、その中には、流星が飛んだ跡に、細長くボヤッと光る痕が見られることがある。この痕を双眼鏡で見ると、上空の大気の流れによって、形が徐々に変化していくようすを見ることができる。 
       
      
        『流星痕』:流星の流れた後に、ボンヤリ光る「流星痕」が見られることがある。明るい流星では、数分間も消えない「永続痕」となり、上空の風で拡散していき形が変化していく。  
       
      ●眼の感度をアップさせて楽な姿勢で見る
       肉眼での観測だが、流星を見るための特別の方法というものはない。ただ、眼を『暗さ』に充分に慣れさせて眼の感度を上げておくことと、いつ流れるかわからない流星に備えて、長時間夜空を眺め続けられるような楽な姿勢をとることが必要になる。 
       眼が暗さに慣れるには、最低でも5分ほどかかる。理想的な状態に持っていくには、なお20分ほど、暗い夜空を見続けなければならない。 
       もしも、明るい部屋からときどき外に出て夜空を少し眺めて、流星が流れないからといってまた明るい部屋の中に入る、といったことを繰り返していると、眼の感度アップが起こらないので、せっかく流れた流星も見逃すことになってしまう。 
       ここは、17日の夜半から朝まで、じっくりと腰を据えて流星の出現を待つことにしよう。そのための楽な姿勢とは、椅子に座るか、寝転がってしまうかのどちらかだ。 
       18日の3時ごろまでは、東の中天を中心に広い範囲を見ることになるので、椅子があれば楽だ。寝転がって首を横に向ける、もしくは枕を用意して頭の角度を調整するといった方法もある。 
        
      椅子に座って長時間の観測に備える。  
      公園のベンチで寝転びながら観望。
       4時から夜明けまでは、放射点も高く昇り、天頂付近に流星が飛ぶことが多くなるので、寝転がってしまうのがいちばんいい。地面に直接寝ると体が冷えてしまうので、マットを敷いた上で寝袋に入るか、毛布を用意しよう。 
       いずれにせよ、季節は11月で、夜間はかなり冷えるので防寒に注意し、長時間の観測に備えてほしい。 
       また、暖を取るために火を炊くのは、許可されている場所だけにしてほしい。そもそも、せっかく暗さに慣れた眼がまたもとに戻ってしまうので、たき火は流星観測には逆効果だ。 
        
      寝転んで見るのが一番楽。寝てしまわぬよう!
       
      ●出現のピークを観測してみよう
       流星の明るさや経路を記録するといった「観測」は、現象の正確な記録という意味では有用なことだが、ただ単に「多くの流星を見たい」という場合には、大上段に構えず、もっと気楽に楽しめばよい。 
       それでも、流星の出現数ぐらいはカウントしてみよう。 
       出現数のごく簡単な記録方法は、10分刻みぐらいで、何個の流星を見ることができたかを記録していくことだ。この観測結果から、あとで出現のピークが何時ごろであったかを知ることができる。翌日の話題にも「〜時頃がピークでしたね」と自慢できるかもしれない。 
       もちろん、1分間に何十個もの流星が乱舞するという状況になった時には、出現数など数えていられないだろう。そのときは、流れのままに身を任せ、天空の一大スペクタクルを全身をもって感じ取るしかない。 
       
      ●流星を写真撮影する簡単な方法
       流星を写真に撮りたいという場合も、難しく考える必要はない。まず、用意するものは、カメラとレンズ、レリーズ、高感度フィルム、それに三脚だ。具体的な撮影方法は、カメラを三脚に固定して、シャッターをB(バルブ)にセットし、長時間を露光するというもの。絞りは、F2からF2.8
      あたり。ピントは無限遠(∞)。カメラを向ける方向は、とりあえず、放射点のあるしし座方向(東)、もしくは、しし座よりやや上方がよいだろう。露出時間は、使用するフィルムの感度や、撮影地の光害の程度や天候によっても変わってくるが、ISO1600のフィルムでF2.8の場合、都市部で30秒、郊外で1〜2分、6等星まで見える空で5〜10分あたり。これらは目安なので、とくに、自宅で撮影する場合は、事前に試写して確かめておくと安心だ。電子カメラの場合は、Bでシャッターを開放にするために専用のレリーズが必要になることがあるので、要注意だ。 
       より本格的に撮影するには、カメラを赤道儀に搭載して、追尾撮影する方法もあるが、これはマニア向きの撮影法になる。 
        
      ▲三脚とカメラだけで撮れる固定撮影での流星写真作例
        
      ▲赤道儀を使った、追尾撮影での流星写真作例  
      作例写真撮影/川村 晶
      
     |