古代の月食
月食や日食は古代バビロニアの時代から記録に残されている。古代の人々にとって天空の太陽や月が消えてしまう現象は、神が天罰を下す警告と思ったのだろう。
そのため日食、月食の記録を丹念に取り続けるうちに、いつ食が起きるか予想できるようになってきた。イギリスのストーンヘンジはその日食、月食を予報するための一種の天文台として建造されたともいわれている。
ギリシャ時代には、このバビロニアの食予報の計算を取得した哲学者タレスが、日月食の予報をして名声を高めたという。当時ギリシャでは地動説が有力であったが、その証拠として、月に写る地球の影が丸いことも有力な証拠の1つとなっていた。また同じくギリシャのアリスタルコスは、月食の地球の影影の大きさを測り、月は地球の3分の1の大きさとした。実際には月は地球の4分の1程度だが、当時の観測技術による誤差が原因だ。
eclipseとはギリシャ語の”省くこと”が語源となっている。文字どおり天から太陽と月が省かれるというわけだ。
月食がおきる理由
月は太陽の光を反射して輝いている。満月のときに太陽−地球−月が一直線に並んだとき、地球の影は太陽とは反対側に伸びる。その影の中を月が通過して、月面が暗くなる現象を「月食」という。
月食の種類
月食にも日食と同じように3つの種類がある。皆既月食と部分月食、それに半影月食である。ただし地球の影は月よりもずっと大きいので、金環月食はない。月が完全に地球の影(本影という)の中に潜入するのが皆既月食である。
皆既月食中の月はどう見える
皆既月食といっても月が完全に見えなくなる訳ではない。皆既月食のとき月は赤銅色になり薄ぼんやりとして見えている。月が完全に見えなくならないのは、地球の大気層で拡散された太陽光が月面をほんのりと照らすためで、波長の長い赤い光だけが届くので赤く見える。ただ、皆既中の月の明るさは、地球の大気の状態によって変わる(たとえば火山噴火によって大気中にチリが大量に放出されたときには皆既中の月は暗い)。
日食と月食、どちらが多いか?
一般に皆既月食を見たことがあっても皆既日食を見たことがある人は少ないだろう。このように考えると皆既日食のほうがまれな現象のように思われるが、実際に今後10年に起きる皆既日食と皆既月食を比べてみると同じ回数である。さて、これはいったいどうしたことか。皆既日食がごく限られた地域でしか見ることができないが、皆既月食は月が見える場所なら地球上どこでもほぼ同じように食を観察することができるため、皆既月食の方が目にする機会が多いためである。
★皆既月食★
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★皆既日食★
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