星ナビ 火星情報 −地球に接近した火星−

 
 HSTによる火星
HSTによる火星

地球と火星の位置関係 およそ2年2か月ごとに地球との接近を繰り返す火星が、2001年6月22日に地球へ最接近となった。火星と地球間の距離はおよそ6,700万キロメートル、火星の見かけの大きさも20.8″(木星の半分ぐらいの大きさ)になった。
 
 2001年の接近は2003年8月の大接近の前の接近なので火星も大きく見え、小さな望遠鏡でも表面の模様を見ることができた。火星はさそり座の1等星アンタレスの東側で−2.3等で輝いていた。
 
 地球と火星の位置関係は図のように、先行している火星を地球が追いかける形となる。2年2か月ごとに繰り返されるこのレース、何回やっても内側の地球の勝ち。実は接近しているのは地球のほうなのだ。


火星とアンタレス

「6月22日午後9時の南の空」
「2001年6月22日午後9時の南の空」

上図に星座絵と地平座標線を重ねた図
上図に星座絵と地平座標線を重ねた図

 火星のことをギリシア語で「アーレス」といい、「さそり座」のアンタレスは「アンチ・アーレス」つまり「火星に対抗するもの」という意味だ。さそり座には太陽の通り道である「黄道(こうどう)」があり、火星や他の惑星もひんぱんにさそり座を通過する。火星は今、おりしも「さそり座」近くで、地球最接近を迎えている。火星に対抗するアンタレスにとってこれ以上の舞台はないのだが、アンタレスが1.0等級なのに対して、最接近時の火星はマイナス2.5等級と、約25倍も明るくなり、これはもう勝負あった、というところだ。


望遠鏡で火星を見よう!

火星の運行のようす
火星の運行のようす

火星の視直径の変化
火星の視直径の変化

 火星は火星人や運河の存在が話題になったこともある興味深い惑星だ。 火星には地球と同じように四季があり、季節の移り変わりによって、その模様が変化したり、巨大な砂嵐が起きたり、極地方をおおう真っ白な極冠の大きさが変化したりと、実にドラマチックな変化をみせてくれる惑星だ。
 しかし、その模様を観察するのはかなり大変なことだ。とにかく見かけの大きさが小さく、小さな望遠鏡では大まかな模様はおろか、何も見えないことも珍しくない。小望遠鏡での観察のチャンスは、2年2か月ごとに訪れる衝のころ、すなわち大接近のころに限られる。2001年6月22日の地球へ最接近をはさんで1ヶ月ほどは火星の見かけの大きさも20″ほどと火星も大きく見え、小さな望遠鏡でも表面の模様を見ることができ、久しぶりの火星観測のチャンスとなった。火星を望遠鏡で見る機会があったら、思いきって高倍率にしてみるとよい。口径の2倍くらい(100ミリの望遠鏡なら200倍)の高倍率で観察すると、大きな暗い模様や極冠が見やすくなる。

火星の主な地形
火星の主な地形


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