口径76mm屈折望遠鏡とデジカメによる火星
そもそも惑星の拡大撮影は、アイピースの後ろにレンズを外した一眼レフカメラボディを取り付けて行なうのが常道。それをレンズも外れないコンパクトなデジカメで、惑星のいい画像を撮るなんて…と思うかもしれない。
ところが実際に撮像してみると、意外と簡単にそこそこの画像が撮れてしまうのだ。ぜひとも接近中の火星をデジカメでねらってみることにしよう。
デジカメでの天体撮像の最大のメリットは、撮像結果をリアルタイムで背面の液晶モニターで確認できること。また失敗画像はその場で消去できること。これなら気に入った画像がゲットできるまで、とことん撮像ができるというわけだ。
デジカメによる火星撮影には デジカメアダプターが必要
ところで一眼レフでもレンズ交換式でもないデジカメでは、アイピースによってできた像を眼の代わりにカメラレンズが覗く、コリメート法で撮像することになる。撮像方法はいたって簡単で、デジカメのレンズ部をアイピースの後ろに押し付けて、シャッターを切ればOK。
ただしこれでは、シャッターぶれが起こる可能性があるし、アイピースとカメラレンズとの光軸が合わなくて像が片ボケしてしまうことがあるので、デジカメアダプタなるものを使用して望遠鏡とデジカメを接続するのがよい。最近は各社からいろいろなタイプのデジカメアダプタが発売されているので、デジカメの機種にフィットするものを選ぼう。
望遠鏡とデジカメとの接続で注意しなくてはいけないことは、アイピースとカメラレンズの間隔を可能な限り小さくすること。間隔が開きすぎると画角が円くけられて写る範囲が極端に狭くなってしまうからだ。けられる量は、使用するデジカメやアイピースによって変化する。一般的にアイピースは、眼レンズ(覗く側のレンズ)の径が大きいほどけられが少ない。つまり焦点距離が長めのアイピースを使い、デジカメのズームレンズの望遠側で拡大するのがコツだ。事前に景色を覗いてもっともケラレの少ない組み合わせを見つけておこう。
組み合わせによってこんなにけられ方は違う
三脚ねじ穴タイプのデジカメアダプター
ミードのデジタルカメラアダプタ
カメラ三脚のようにねじを使ってデジカメを固定するタイプ。アイピースをセットするためのアイピースホルダーと、デジカメの位置を自由に調整できる可動式のプレートが組み合わせてあるので、デジカメを前後方向と水平方向に動かし、アイピースを上下方向に動かしてカメラレンズとアイピースの光軸を合わせる。
この方法は、フィルターネジのないデジカメに対応できるが、カメラのサイズによっては、対応できない機種もある。
写真はミードのデジタルカメラアダプタ(DS用13,500円)で、レンズの前面から底部のねじ穴までの奥行き寸法が最大で82mm以下、底部からレンズの中心までの高さが25〜80mmの寸法のデジカメに対応している(例外あり)。
|
フィルターねじタイプのデジカメアダプター
ニコンCOOLPIX 995をビクセンのアダプタで取り付ける例
リング状のアダプタをデジカメのレンズ枠に切ってあるフィルターねじを利用して取り付けるタイプ。各部をリングで固定するという点で、三脚ねじ穴タイプに比べると、確実に光軸が合い、しかもかっこよく望遠鏡に装着できる。
フィルター取り付け用のねじ径はデジカメの機種によって異なるため、数種類のアダプタリングが用意されている。別売りのコンバージョンレンズ用アダプタが必要なデジカメもある。また、フィルターねじが切ってないタイプのデジカメはこのタイプのアダプタでは取り付けられない。 |
|