【1997年7月 Comet Observation Home Page / JPL】
7月2日に発見されたタイバー彗星(C/1997 N1)が、7月下旬に急激に拡散して
暗くなっていく様子が、ゴードン・ガラッド氏によって捉えられている。
この彗星は9月には日本からも見える位置に来るが、彗星がこのまま消滅してしまうと、
近日点通過後の観測はできないかもしれない。
一般に彗星は太陽に近づけば近づくほど明るくなる。 ところが、小さな彗星が太陽に接近しすぎると、太陽からの強いエネルギーに 耐え切れず、蒸発して見えなくなってしまうことがある。 経験上、彗星の絶対光度が 7.0 + 6 × q (q:最も太陽に接近した時の距離) よりも 暗い場合には、彗星は蒸発してしまうと言われていた。 この彗星の場合は太陽に0.38天文単位まで接近するため、9.3等が限界となるが、 実際の絶対光度は9〜11等であり、太陽に近づいて消滅する可能性も指摘されていた。
タイバー氏は昨年8月にも彗星を発見したことがある(C/1996 Q1)が、昨年の彗星も 近日点通過前に消滅してしまい、人々を驚かせた。 偶然にも、彼の2つ目の彗星も同じ運命をたどることになりそうだ。
拡散していくタイバー彗星の画像は The End of Comet Tabur??? ( Comet Observation Home Page / JPL) を参照。