夕方、太陽が沈んでいったほう、つまり西の空を見渡すと、空のちょっと低めのところに、ひときわ明るい星の輝きに気づきます。じっと見つめて飛行機のように移動していなければ、それがたしかに金星である、と自信をもって言えるようになるはず。
金星の特徴は、なんといってもその「明るさ」です。夕方に見える明るい星、すなわち「宵の明星」としても知られています。これから数か月もの間、日が暮れて最初に見えてくる一番星が、金星です。
冷房も、暖房も、ほとんど使うことのないこの季節。外へ出てみれば草木が風に吹かれてゆれ動き、なまあたたかい風が心地よく、あぁいつまでも春が続けばいいな、なんて思ったり。空に目を向けてみれば、夕方には金星、夜になると春の星座に火星や土星も加わって、ぱっと見にぎやかな星空です。さらに鹿児島県の種子島からは、日本の探査機「あかつき」が金星に向けて打ち上げられました。今年の春はいつもより、星に近づけそうな春ですよ。
夕方、太陽が沈んでいったほう、つまり西の空を見渡すと、空のちょっと低めのところに、ひときわ明るい星の輝きに気づきます。じっと見つめて飛行機のように移動していなければ、それがたしかに金星である、と自信をもって言えるようになるはず。
金星の特徴は、なんといってもその「明るさ」です。夕方に見える明るい星、すなわち「宵の明星」としても知られています。これから数か月もの間、日が暮れて最初に見えてくる一番星が、金星です。
とうちゃーん、ビカビカの星が出てるよ、見て見て!
おう、金星か。きれいだなあ。そういえば「あかつき」の打ち上げ、テレビで見たか?
見た見た。打ち上げってカッコイイ。人間乗れる? ぼくも金星に行けるかなあ?
なにを言っているんだ、だいじな息子をあんなところにやれるか!
???
金星は、地球よりもちょっとだけ太陽に近いところをめぐるおとなりの惑星です。そこはどんな世界でしょうか。黄金の世界? 美しい場所? 想像をめぐらせるのは楽しいものです。地球とだいたい同じ大きさで、固い地面があって、大気もある。そういう意味では地球とそっくり似たものどうし。双子の惑星とも言われます。
でもじつは、そこは地獄のようなところ。金星の大気はとても濃く、おもな成分はCO2(二酸化炭素)です。地球温暖化、ではなく金星温暖化が進んでしまい、地表付近は460℃という灼熱地獄。生物どころか機械にだって過酷な環境で、かつて金星に着陸したロシアの探査機も、あまりの高温により2時間しかもちませんでした。雲には硫酸が含まれています。生物は住めそうにありません。
地球にはみられない謎めいた風も吹いています。金星はゆっくりと自転しているのに、それをとりまく大気は高速で回っていて、ものすごい風が吹いているのです。スーパーローテーションと呼ばれるこの大気運動は、地球の常識では考えられません。また、金星にはその昔、海があったという説もありますが、まだよくわかっていません。
金星は地球と双子の惑星なのに、なぜこれほど違ってしまったのでしょうか? まだまだわからないことだらけです。おとなりの惑星のことを調べて、過去の出来事をひもとくことができれば、地球のこと、自然環境のことも、もっとよくわかってくるはずです。「あかつき」は金星をまわる気象衛星となって、地球と双子の兄弟の姿を見つめます。