2010年7月

今月のさんぽ先星の名まえ

ああ、夏はどうしてこう暑いのだろう。夏になるとそんなことを一瞬考え、そういえば昨年も同じことを思ったなあ、などと思い出し、日陰を歩き、冷たいものを食べ、何か少しでも涼しさを感じられる方法を工夫して、暑さとともに生きていくことを受け入れ、海へ、山へ、この季節の雰囲気をそれなりに楽しむ。そして夜には夏の星たちを仰ぐ。そういうことが、毎年毎年、何千年も続いているのではないでしょうか。

夏はどうして暑いのか

冬の夜に見える、シリウスというとても明るい星があります。恒星ではNo.1の明るさで輝いて見えます。シリウスという名まえは、ギリシア語のセイリオスからきています。「焼き焦がすもの」という意味です。

このシリウスは、夏になると夜中には見えません。昼間の青空の中にあるためです。昔の人は、シリウスの明るさが太陽の明るさといっしょになって、夏の暑さの原因になったと考えたようです。

もちろんこれは、夏が暑い理由としては正しくありません。しかしながら、シリウスの強烈な輝きを見ると、「焼き焦がすもの」という意味の名まえを付けたことも、夏の暑さの原因と考えた気持ちも、なるほど、と思えてきます。

夏の昼間、星が見えたら

夏の昼間、もしも星が見えるとしたらシリウスがそこにあるはずです。

とうちゃーん、ベガとアルタイルって、知ってる? どういう意味?

あー、そういう切ない歌があったなあ。

ちがうってば。テレビに出てくるんだ、ベガフォームとか。ライダーが変身するの。

おりひめに女装するのか? ベガとアルタイルは星の名まえだろう、七夕の。

星の名まえだったのか……。で、意味は???

星には名まえが付いている

とくに明るい星や目立つ星には、固有の名まえが付いているものがあります。シリウス、アンタレス、ベガ、アルタイル、デネブなどなど、代表的なものだけでも数十個あります。そうした名まえの多くは昔から使われているもので、主にギリシア語やラテン語、アラビア語などに由来しています。

名まえには意味があります。星座の形や、その星の印象、昔の人びとの見方などと、深い関わりがあります。例えば、さそり座の心臓のところに輝くアンタレスは、「アレス(火星)に対抗するもの」という意味のギリシア語です。アンタレスの赤っぽい色が火星の色と似ていることや、たまに火星が近くに並んで見えるときに、その赤みを競い合っているかのように見えることから、そう呼ばれています。

デネブははくちょう座の星で、(鳥の)尾という意味です。はくちょう座α(アルファ)星でもあります。

七夕の星、おりひめぼしとひこぼしは、ベガとアルタイルのことです。ベガは(降りる)鷲、アルタイルは(飛ぶ)鷲、という、どちらもアラビア語です。星の並びから鷲の姿を想像して付けられたと言われています。おりひめ・ひこぼしという呼び方は、七夕のおはなしにちなんでいますから、その起源は中国です。

このように、名づけのルールや由来によって、ひとつの星に何通りかの呼び方があります。どの名まえで呼んでもよいのです。星の名まえとそのいわれを知ると、親しみもわいてきます。昔の人が、星の特徴をよく観察し、想像力をはたらかせて、星に名まえを付けた気持ちに思いをめぐらせてみるのも楽しいものです。

はくちょう座

はくちょう座のデネブは(鳥の)尾という意味がある。

星空ナビで星の名まえがわかる

あの星なぁに? シリウスはどこ?

あの星なぁに? 夜空に見えている星の名まえを知りたいときは、[あの星なぁに?]メニューを選んで画面を夜空にかざすだけ。(上画面)

ベガの説明その星についての説明も表示される。Xボタンを押せば、画面を固定してゆっくり読むことができる。(下画面)

星をさがそう探したい星があるときは[星をさがそう]メニューから。恒星のシリウスを選んでみよう。(上画面)

シリウスはこっち矢印にしたがってかざす向きを変えていくと、シリウスは地面の下、沈んだ太陽の近くに見つかる(夏の夜の場合)。星空ナビなら地面が透けて表示される。(下画面)

星座早見でサクっと調べる

[星座早見]メニュー 天体の名前からさがせる[星座早見]メニューもおすすめだ。「恒星」を選ぶとたくさんの星の名前がリストアップされる。(下画面)

アルタイルが見つかる 名まえを選ぶとその星がどこにあるのか星図の上で素早くわかる。(上画面)

星図から星をえらんで調べる

[天体事典]メニュー [天体事典]ボタンを押して現れる画面から、知りたい星をペンでタッチする方法もある。はくちょう座のおしりにタッチ。(下画面)

太陽 タッチした星の説明が表示される。(上画面)

まだまだ知らない星の名まえがいっぱい

天体事典 [天体事典]の[名前でさがす]から、いろいろな星の名まえを調べてみよう。暗めの星でも名まえには意味がある。(下画面)

ズベンエスカマリ ズベンエスカマリの例。星の名まえの由来を知れば、星座を見る目も変わってくるかも。(上画面)