【1997年 4月28日 NASAプレスリリース 97-83】
4月28日付けのNASA発表によると、銀河系の中に少なくとも2箇所、
反物質が大量に存在し、(正)物質と激しく対消滅している領域があることが
わかった。
反物質存在領域は、銀河系の中心部で噴水のように湧き出ている領域があり、
また銀河平面の縁にも反物質が雲のように広がって存在する領域があるという。
これらはNASAの「コンプトンガンマ線衛星」が、物質と反物質が対消滅する時 などに大量に発生するガンマ線を観測した結果によるもので、今回の観測結果では、 驚くべき量の反物質の陽電子が通常の電子と対消滅していることがわかった。
どちらの反物質のかたまりについても、その詳しい性質や生成原因は明らかでなく、 学者によって意見が分かれている。 その中でも前者(銀河中心部の噴水状の陽電子)については、従来の銀河系内の 反物質分布予想モデルとは異なる領域に発見されたもので、銀河系中心の大きな ブラックホールのそばで誕生している恒星の影響によって生成したとする説や、 巨大恒星やブラックホールなどから噴出したものであるとする説が有力である。 また、後者(銀河系外縁部)については若い巨大な恒星の爆発によって生成された 反物質ではないかといわれている。 いずれにせよこれらの反物質体の解明は今後の研究が待たれる。
※コンプトンガンマ線衛星は、宇宙に存在するガンマ線の解明のため1991年に打ち上げられた人工衛星。