【1997年11月6日 NASA/JPL RELEASE 97-257】
木星の衛星イオにアリゾナ州ほどの大きさの火山性堆積物が発見された。 これはNASAが5日発表したもので、惑星探査機ガリレオの撮影した画像から見つかった。
イオの火山堆積物(JPEG 65KB)
これは、5ヶ月前に撮影された木星の衛星イオの画像と、最新の画像をくらべたさい、 新たに大きな黒点地域がイオ表面に見つかり、明らかになった。 このことから、この5ヶ月の間に劇的な火山活動がイオで起こったことが判明した。
アリゾナ大学のアルフレッド・マックイーエン教授は、「今回の発見は、 ガリレオが2年間にわたって行なってきた木星系の観測中、 もっとも大きな表面変化である」と語っている。
今回明らかにされた黒点地域は直径約400kmほどもあり、イオにある火山、 ピラン・パテラ(名前の由来は南アメリカの雷・火・火山の神)を 囲む形で存在している。黒点地域の中心には暗く特徴のある地形があり、 新しい熔岩の流れではないかとみられている。
今回の発見は惑星探査機ガリレオによって撮影された1997年4月4日と 同年9月19日の画像によるもの。 1997年の6月に、ガリレオとハッブル宇宙望遠鏡によってピラン上で 高さ約120kmほどにもおよぶ大きな火山活動が観測され、ガリレオ、 および地球上の天文学者が、その動向に注目していた。
「イオ表面にできる火山による堆積物は硫黄を含むため白、黄色、 または、赤く見える。 しかしながら、この新しい堆積物は灰色であることから、 ほかの火山性堆積物とは違い、ケイ酸塩が多量に含まれているのではないか」と、 マックイーエン教授は語る。 また、教授は「科学者は高温状態ではイオにもケイ酸塩を多量に含む 火山活動が存在するということを知っていたが、今回の発見は、 イオの進化についての大きな手がかりになるものである。」 「イオは地球と同じく、主成分はケイ酸塩であると考えられているが、 イオの巨大な火山活動によって、地球上で見かけられるものとは違った 岩石を作り上げた可能性もある」とも付け加える。
また、今回撮影されたイオの画像には、ピラン・パテラの南西にある ペレ火山のマントル・プリュームもピラン火山活動と同時期に活動的で あったことが判明した。 ピラン付近の堆積物と類似しているように見られるペレの南西にある暗い領域は、 1979年のボイジャーがイオに接近したさいにも見つかっていた。 科学者たちは、今後ガリレオが送ってくる画像を注意深く見守って行く方針だ。
ガリレオ計画のページは以下のURLで参照できる:
http://www.jpl.nasa.gov/galileo