よくある質問と回答
■天体などの表示
Q:星図画面が出ない、画面が乱れる
A:お使いの PC によっては、グラフィック環境が Direct3D にフル対応していないため、星図画面が全く表示されなかったり、画面が乱れたりすることがあります。
この場合には、お使いの PC のグラフィックドライバを最新のものに更新してみてください。
それでも改善しない場合は、[設定] メニューの [環境設定] で [□ DirectX モードで動作] をオフにしていただくと、Direct3D を使わない描画方式に変えることができますので、この設定をお試しください。
詳しくは以下のページをご参照ください。
ステラナビゲータ Ver.9:星図が正しく描画されない場合の対応
※[□ DirectX モードで動作] のチェックボックスは 9.0b アップデータ以降で追加されたものです。この設定変更を行いたい場合には最新のアップデータをインストールしてください。
※[□ DirectX モードで動作] をオフにすると印刷などいくつかの機能が使えなくなります。これにつきましては大変申し訳ございませんがステラナビゲータ Ver.9 の制限事項としてご了承ください。
Q:視野円・写野角が表示されない
A:ステラナビゲータの内部では視野円や写野角の位置を「赤経・赤緯」で保存するため、
- 表示形式を切り替える
- [前回終了時の設定で起動] がオンの状態で、終了時とは別の時刻に再起動する
などの操作を行うと枠の位置がウィンドウの外になってしまい、画面に現れなくなることがあります。
以下の手順で画面中央に戻りますのでお試しください。
- リボンバーから [視野・写野] タブを開きます。
- [=視野円=] の [表示]ボタン(写野角の場合は [=写野角=] の [撮像エリア] ボタン)を押して視野円または写野角の表示をオンにします。
- この状態で画面内に表示されない場合には、PC の [Shift] キーを押しながら [表示]ボタン(または [撮像エリア] ボタン)をもう一度クリックしてください。
この操作で視野円または写野角が画面の中央に戻ります。
これでも復帰しない場合には、[編集] メニューの [初期化] でいったん設定をすべてリセットすれば画面中央に表示されるようになります。
Q:馬頭星雲やカリフォルニア星雲が表示されない
A:星雲・星団については、初期状態では明るさが 0 〜 12 等の範囲の天体のみマークや番号・通称などが表示される仕様になっています。
馬頭星雲 (IC 434) やカリフォルニア星雲 (NGC 1499) はカタログ上の光度が12等よりも暗いため、初期状態では表示されません。
[天体] メニューの [星雲・星団] ダイアログで、[等級:] の [□ 限定] をオフにしていただくとこれらの暗い星雲も表示されるようになります。
Q:[星雲・星団]-[PGC] で表示される銀河の画像が実際の銀河の姿と異なる
A:この機能で表示される銀河の画像は模式的なイメージであり、実際の銀河の形状や傾きとは異なります。実際の銀河の形状を表示したい場合には[天体]-[DSS 画像取得]をご利用ください。
Q:[星雲・星団]-[PGC]で表示される銀河の位置や天体情報パレットのデータが星雲星団マークの位置やデータと異なっている
A:PGC の銀河と従来の星雲星団マークとでは、データの出典(カタログ)が異なっているために座標や等級の値が一致しない場合があります。
Q:ステラナビゲータの惑星の位置精度はどのくらいか?
A:ステラナビゲータの内部で計算される月・惑星の位置は、紀元前3000年から西暦3000年までの範囲については摂動を考慮した計算で求められています。この範囲内では、地球から見た月・各惑星の位置は NASA/JPL の天体暦 DE406 と比較して位置座標の誤差が1秒以内に収まっています。
上記以外の日時範囲ではこれよりも精度を落とした計算を行っていますが、歴史上記録が残っている時代に起きた日食等の天文現象を正確に再現できる程度には十分な計算精度を持っています。有史時代を超える数万年スケールの過去や未来の惑星位置については未検証です。
Q:西暦1582年10月4日の翌日が10月15日に飛んでいる
A:ステラナビゲータでは1582年10月15日を境にしてユリウス暦とグレゴリオ暦を切り替えているため、1582年10月4日の翌日が10月15日となります。
「ユリウス暦」と「グレゴリオ暦」についての詳細はアストロアーツサイト内「星空ガイド」の「天文の基礎知識」コーナーにも掲載されています。
Q:日時を数千年前(後)に設定した場合の天体位置の精度はどのくらいか?
A:遠い過去や未来における天体位置の精度に影響を及ぼす要因としては、歳差運動、固有運動、極運動、地球自転の減速などが考えられます。
ステラナビゲータ Ver.9 ではこれらの要素については以下のような扱いとなっております。
- (1)歳差運動
- ステラナビゲータ Ver.9 では、(A.D.2000±3000年)程度の範囲については Newcomb の方法によって歳差を計算します。この方法の誤差の大きさは未検証ですが、およそ角度の分程度の精度はあるものと思われます。
- (2)固有運動
- ステラナビゲータ Ver.9 では Hipparcos 星表をベースにした基本恒星データを用いています。この Hipparcos 星表は固有運動の視線方向成分のデータを持たないため、固有運動については横断速度成分のみでの単純な計算にとどまっています。しかし ±3000 年程度であれば、太陽近傍のわずかな星を除いて誤差は無視できる範囲であると思われます。
- (3)極運動
- ステラナビゲータ Ver.9 の天体位置には極運動は考慮されておりません。
- (4)地球自転の変動
- ステラナビゲータ Ver.9 では、地球の自転速度の変動による時刻の変化ΔT(DT-UT)については、西暦1681年以降については推定値もしくは実測値を使用しており、西暦1681年以前は-13.5秒程度の固定値を用いています。未来については現在のΔTの値をそのまま用いています。
なお、太陽系天体につきましては「よくある質問と回答」の「Q:ステラナビゲータの惑星の位置精度はどのくらいか?」を参照してください。
Q:「卑弥呼日食」のシミュレーション結果が、テレビ番組や本で紹介されていたものと違う
A:これは当時の「地球の自転速度」が正確にはわかっていないため、それぞれ異なる自転速度を仮定して計算しているためです。
西暦248年に起きたといわれる、いわゆる「卑弥呼日食」は、ステラナビゲータのメニュー「お気に入り」→「歴史上の天文現象」→「部分日食『卑弥呼日食』」から再現できます。
テレビ番組や本で紹介されている「卑弥呼日食」と同じ時刻・場所をステラナビゲータに設定した場合でも、日食の時刻や太陽の欠け方が番組や本の結果と異なる場合があります。これは、番組や本での計算とステラナビゲータ Ver.9 内部での計算とで、大昔の「地球の自転速度」に異なる値を採用しているために起きるものです。
私たちが日常使っている時刻系(世界時)は、生活に密接な昼夜のリズムに合わせるため、常に地球の自転に同期していますが、実際の地球の自転速度は一定ではなく、時代とともに早くなったり遅くなったりします。
したがって、過去の日食が起きる時刻を正確に計算するためには、その当時の地球がどのくらいの速さで自転していたかを知る必要があります。
天文計算では、この「地球の自転速度の変化」を表す値として、
- 地球時(常に一様に進む時刻系。力学時とも呼ばれます)
と
- 世界時(私たちが日常使う時刻系。地球の自転に合わせているため変動する)
の差が何秒あるか、という値を使い、これを「Δ(デルタ)T」と呼んでいます。
しかし、ΔT の値が実際の観測などによって明らかになっているのは過去400年間分程度にすぎません。それより昔の日食についてシミュレーションする際には、当時の ΔT が何秒だったかを「仮定」する必要があります。
ステラナビゲータ Ver.9 では、西暦1681年より以前の ΔT については NASA が提供している「5000年日食予報」と呼ばれるデータ に含まれている ΔT の推定値を使って計算を行っています。
具体的な ΔT の値は下記の PDF に掲載されていますので、ご参照ください。
NASA/TP.2009.214174
Five Millennium Catalog of Solar Eclipses:
-1999 to +3000 (2000 BCE to 3000 CE) - Revised
Fred Espenak and Jean Meeus
http://eclipse.gsfc.nasa.gov/5MCSE/TP2009-214174.pdf
卑弥呼日食については「星ナビ」2001年6月号でも特集しています(バックナンバーもお求めになれます)。
Q:標高の高い観測地での大気差は正しく考慮されているか?
A:ステラナビゲータ Ver.9 では、大気差の計算は標高0mから見たときの値を常に用いる仕様となっています。従って、観測地を高山の山頂などに設定した場合、地平線付近の大気差の大きさは実際の値と比べるとわずかにずれが生じます。
Q:限界等級を暗くしていくと暗い恒星の表示数が頭打ちになる
A:ステラナビゲータ Ver.9 では、[恒星]ダイアログやステラパッドで限界等級をそれぞれ、
- GSC-ACT: 17.2等
- Tycho-2: 15.3等
- Tycho: 15.2等
まで設定することができますが、実際には GSC-ACT を使用した場合には約14等、Tycho-2 を使用した場合には約11等で暗い星の表示数は頭打ちになります。これはそれぞれの恒星カタログに収録されている恒星の数自体が、この付近の等級を境にして減っているためです。
Q:特定の赤経・赤緯の位置を画面の中央に表示させるには?
A:以下の手順で特定の座標を画面中央に表示させることができます。
- [視野]メニューの[中心座標を指定...]を開きます。
- [座標系:]にお好きな座標系を選択し、[座標:]の欄に目的の座標値を入力します。
- [OK]ボタンで[中心座標を指定]ダイアログを閉じます。
Q:ある期間内の新月や満月の時刻をすべて求めたい
A:任意の期間内に起きる満月(望)や新月(朔)の時刻をすべて正確に求める機能は、残念ながらステラナビゲータにはございません。
Q:地平座標で南が「方位角0度」になっているのはなぜ?
A:ステラナビゲータでは地平座標の方位角 (azimuth) を表す際に、初期状態では南を「0度」としています。
地平座標の方位角の原点については北を0度とする場合と南を0度とする場合があり、天文計算の文献などでも両方のケースがあります。
南を0度とする流儀は、天体の「時角」が南側の子午線から測るように定義されていることから、これとの整合性を考慮して用いられてきたようですが、現在では北を0度とする場合も多くなっています。
ステラナビゲータ Ver.9 では、[ツール]-[天体情報パレット設定...]の[表示オプション:]で「方位を南を0度にして表示」のチェックをオフにしていただければ、北を0度として表示することができます(ただし画面下部のステータスバーに出る方位は常に南が0度となります)。