皆既月食の日までに梅雨は明ける?
皆既月食が起こる7月16日は梅雨末期。年によってはすでに梅雨明けしていることもあります。梅雨が明けるとそれまでの雨天続きが一挙に夏晴れの晴天に変わり、一年でもっともドラスティックに季節が変わるのを実感できることでしょう。
もし、皆既月食の日より前に梅雨が明けていれば、この梅雨明け後にくる夏晴れの空の下で皆既月食を楽しむことができるかもしれません。梅雨明けがいつになるかに期待が集まるところです。そこで、この梅雨明けの時期について調べてみました。
● 平年値でみると
月食の日7月16日はちょうど四国の平年の梅雨明け日にあたっています。したがって、平均的には月食の日までに、南西諸島と九州南部、それに四国は梅雨が明けていることになります。実際、過去48年間の梅雨明けの日のデータをみても、7月16日までに梅雨が明ける確率は四国で50%、九州南部で65%とすでに梅雨明けしている地域は50%以上を示しています。南西諸島の奄美・沖縄では、7月16日までに100%梅雨が明けていることもわかります。
この梅雨明けと皆既月食の日の関係はひじょうに微妙なところにあります。もし、あと2日月食が起こる日が遅かったら九州北部と東海、あと3日遅かったら近畿と中国、あと4日遅かったら関東・甲信で梅雨明けの平年日にかかります。あともう少しだけ皆既月食が起こる日が遅ければ、晴れることがずいぶん多くなるのに・・・、と惜しまれるところです。
地 域
平年の梅雨明け日
皆既月食の日までに梅雨が明けている割合(%)
東北北部
7/26
15
東北南部
7/23
23
北 陸
7/22
26
関東・甲信
7/20
29
東 海
7/18
38
近 畿
7/19
40
中 国
7/19
40
四 国
7/16
50
九州北部
7/18
42
九州南部
7/13
65
奄 美
6/28
100
沖 縄
6/23
100
●日本各地の平年の梅雨明けの日と、7月16日までに梅雨明けしている確率。
皆既月食が起こる7月16日は、ちょうど四国の平年の梅雨明け日と一致しており、統計的にはこの日までに四国以南は梅雨明けしていることになる。皆既月食の日までに梅雨が明けている割合は、7月16日まで梅雨明けしている年数を統計期間の48年間で割ることにより求めた。データは気象庁平成12年暖侯期予報資料より。
南西諸島は100%梅雨明けしているが、それ以北は梅雨明けの日が遅れる地域ほど梅雨明けしている確率が低下してくる。
● 実際にはいつ梅雨が明けているか?
これまでは、梅雨明けの日を平年値のデータでみましたが、実際の梅雨明けの日は下の表のように大きくばらついています。たとえば関東甲信では、過去48年間でいちばん梅雨明けが早かったときは7月3日、いちばん遅かったときは8月3日と1か月の幅があります。ほかの地域でも梅雨明けの日はだいたい1か月くらいのばらつきがあるようです。
表のマス目の色は、暖色ほどその日に梅雨明けが起こった回数が多いことを示しています。この表を見てわかるのは、九州北部から東北南部の地域では、ちょうど皆既月食の次の日から梅雨明けラッシュがはじまっていることです。皆既月食が起こる日があと5日遅ければ、ずいぶんと空の状態は違ったことでしょう。
●日本各地の梅雨明けの日カレンダー
日本の各地域での梅雨明け日をカウントしたカレンダー。カレンダーのマス目の中の数字は、1951〜99年の間にその日で何回梅雨明けがあったかを示している。その日に梅雨明けがあった回数が多くなるほど暖色になるようにマス目を色分けした。データは気象庁平成12年暖侯期予報資料より。
梅雨明けの日は毎年一定ではなく、年によってかなりの違いがある。たとえば関東・甲信地方の梅雨明け日は、早い年で7月3日遅い年で8月3日と1か月間のばらつきがある。もし梅雨明けが早まれば、皆既月食を見ることができる可能性も大きくなってくるだろう。
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