M87
(おとめ座の銀河:おとめ座A電波源)
解説
おとめ座銀河団の中心に位置していると考えられる楕円銀河で、その質量は太陽の数兆倍と、メシエ天体では最大級です。私たちの天の川銀河には球状星団が約200個しかないのに対して、M87を取り囲む球状星団の数は数千個とも1万個以上とも言われています。中心からM84の方向に長さ5,000光年もの宇宙ジェットが直線状に伸びている活動的な銀河で、強い電波天体(おとめ座A電波源)でもあります。こうした活動の背景には、中心部に位置する太陽の数十億倍の質量を持つ超巨大ブラックホールがあると考えられます。過去に12等の超新星1919Aが出現しています。
見つけ方
狭い範囲に多数の銀河があるので、自動導入が見つけるのがよいでしょう。M87はおとめ座ε星(2.8等)から31.4m西、1°26′北です。
双眼鏡
淡いので、双眼鏡では難しい対象です。10x70の双眼鏡を三脚に固定し、丹念に観察すると淡い光斑の存在がわかりますが、小さく丸いので恒星状にしか見えません。
10cm
星雲状の光芒として見えます。明るい楕円形の光斑で、中心が特に明るいのはわかりますが、ジェット噴流は見えません。
20cm
10cmとあまり変わりませんが、よりはっきり見えるようになります。M87の10′南西にも10.9等のNGC 4478がありますが、視直径1′とひじょうに小さいため、よく観察しないと恒星と見間違えてしまいます。