- 光文社新書
- 10.8×17.5cm、340ページ
- ISBN 978-4334038779
- 価格 972円
1915年、アインシュタインが一般相対性理論を世に問うてから今年で100年を記念しての出版物には変わりがないが、ブラックホールや膨張宇宙を論じた本は多数あっても、重力波をこれほど正面から説明した本を評者は知らない。それもこれも、重力波が確実に存在することは見通せていても、未発見であることがその最大原因であろう。
1987年の大マゼラン雲超新星でニュートリノが検出され、多数の新聞やニュースショウで取り上げられ、ノーベル賞まで授与され、一躍巷でニュートリノが話題になったとき、評者は「超新星どこへ行っちゃったの?」と嘆いた覚えがあるが、「無理もない、南半球でしか見えなかったからだ」と無理に自分を納得させたのだ。
本書著者も言われるとおり、重力波が発見されれば間違いなく、発見者にはノーベル賞が…であり、「どこにあるの?」の疑問があちこちから噴き出すであろう。だが、果たして何人の人が「そもそも重力波って何?」ではないだろうか。数年前国立天文台見学の折りTAMA300も見学したが、天文屋(天文家ではなく)を自認する評者にとっては正直言って難しかった。説明パネルがちんぷんかんぷんイマイチだったのだ。だが、本書を読んでその重要さにビックリした。パルサーと言い、連星中性子星といい、食変光星の観測を専門とする評者のすぐお隣さんだったからだ。みなさん、オモシロイですよ!