- 誠文堂新光社
- 四六判、227ページ
- ISBN4-416-20710-7
- 価格 1,890円
東京大学名誉教授で日本天文学会前理事長がお書きになった本。同年輩なのに、筆者などの経歴と実績はこの方の足元にはるかおよばない。肩書きだけで信頼が置けるが、もちろん立派な学術書である。天文学として確固とした部分と生物学として明確な部分とが、著者もおっしゃるとおり、線で繋がっていないのがこの分野の最ウィークポイントであることが、より明確になる本だ。生命を宿すべき環境にある天体は、銀河系内ですら200億とも2000億ともあると言われながら、いまだに宇宙生命につき確固とした論議ができないのは、物質から生命を作り出すことが未だに実験的にも理論的にもできないからだが、もしそれが乗り越えられたら次はどうするか、という予言書がこの本なのである。名称だけならSFチックだが、著者はきっちりと銀河図書館とその網の構築、銀河文明圏、星間通信を超える星間交通、ジオパーク構想と、果てしなく提案されている。一読の価値あるバイブルである。