- 筑摩書房
- A6判、462ページ
- ISBN 978-4-480-09140-6
- 価格 1,470円
副題からおわかりのとおり、宇宙論の本。ただしあちこちにあふれ返る普通の宇宙論の本ではなく、その展開の仕方で大変注目される本だ。37ページの大「序章」だけでも、現代宇宙論物理学の跳躍的発展を感じることができる素晴らしい内容。その上、「宇宙年」という概念(10のX乗年のXを宇宙年と定義)にもとづき、別表のように章立てされており、これがとてもわかりやすくて良いのだ。もちろん、現代物理学にもとづく話だから、決してあなどるべき程度の本ではない。理系の頭でフル回転しないと深い真実を理解することは困難かもしれない。だが、∫やら∂やら数式は一切出現せず、電車の中でも、寝転がってでもグイグイ引き込まれる。400ページ以上があっという間であり、そもそも日本語で書かれた本ではないかと錯覚するほど名訳でもある。
誕生から137億年たった現在の宇宙は470億光年まで広がっていることも、この本が2002年に一度出版されていたことも、知らなかった評者はなんともはや小恥ずかしい!
章 | 宇宙年 | テーマ |
---|---|---|
1 | -50歳〜5歳 | 原始の時代 |
2 | 6歳〜14歳 | 星たちが輝く時代 |
3 | 15歳〜39歳 | 縮退の時代 |
4 | 40歳〜100歳 | ブラックホールの時代 |
5 | 101歳〜1000歳 | 暗黒の時代 |
もっと詳細な年表が巻末に掲載されており、現在は宇宙年10歳、太陽が死滅するのは10.2歳、銀河系とアンドロメダ銀河の衝突も10.2歳、軽い星の消滅が13歳、伝統的な星形成の終了が14歳、恒星から惑星が分離するのが15歳。銀河から恒星が蒸発するのが19歳、惑星などが陽子崩壊で破壊するのが39歳、超高質量ブラックホールが蒸発するのが98歳…。どうです、宇宙に関心がある人なら誰でも絶対読んでみたくなると思いませんか? なおビッグクランチが起きる場合は、今後200億年で940億光年まで広がった後、その300億年後に破滅的収縮をする。宇宙年10歳半ばでジ・エンドだそうだ。