- 東京図書出版会
- A5判、280ページ
- ISBN4-86223-133-0
- 価格 1,470円
本書はいわゆる天文の本ではない。しかし、近々天文学の国際機関で企画実施される「国際天文年」の動機の一つになる、近代科学の父ガリレオによる木星衛星観測野帳の写しが写真で掲載され、詳細な訳文も添付されていることで、たいへんな一級資料になっている。さらに本書は、理科離れうんぬんが叫ばれる中、世界を股にかけてプラズマや核融合を研究されつつ還暦を越えられた著者が、これからを背負って立つ青少年に向けて科学の勉強の真髄を優しい眼差しのもとで、伝えようとしている本である。真実の科学者が発する言葉として、評者のようなまがい者でも、大変に勉強になった本だ。天体から生物まで、全ての自然現象をエネルギー変化ととらえる視点は極めてユニークでわかりやすく、かつおもしろい。本書を読む青少年(高校生以上)は必ずや刺激され、科学を志す人となるであろう。点線で囲まれたコラム(囲み記事)は、極めて広範囲な話題を面白く紹介してくれて、楽しい。著者の広い学識を垣間見ることができる。おしむらくは、歴然とした誤りが数箇所認められるが、おそらくそれは誤植などの単純ミスだろう。啓蒙書として多方面の方々におすすめしたい。