メガスターデイズ 〜大平貴之の天空工房〜

第4回 ギネスへの登録の意味

星ナビ2005年4月号に掲載)

2004年12月に入った頃、日本科学未来館の方から入った連絡が僕を驚かせた。同館に設置しているメガスターIIcosmosが、ギネスワールドレコードに登録されたというのだ。

そうか、ついに登録されたか。最初話を聞いた段階ではその程度だった。なぜなら、メガスターIIcosmosの投影星数500万個が世界で類を見ないことは明らかで、あとの問題はこれが項目として認められるかどうかだけだと考えていたからだ。

僕がなぜ驚いたのか。それは登録内容に"The World's most advanced planetarium projector"――『世界一先進的なプラネタリウム』と書いてあったから。つまり単に星の数が多いというだけではない、世界で最も進んだプラネタリウムということだ。

これが意味するものは何か? 確かにギネスワールドレコードは、一企業が宣伝活動の一環として運営しているもので、必ずしも絶対的な権威とは限らない。けれども、客観的な視点で世界一を決めることを旨とするこのレコードが、このメガスターを世界一と認めたことは確かなのだ。

プラネタリウムには様々な価値観がある。星の数がすべてではない。特にプラネタリウム全体がデジタル化に急速に進みつつあるとされる今、アナログの光学式のメガスターがこのような認定を受けることを疑問視する声もある。けれども、僕が誇りに思うことは、単なる星数の追求ではなく、より暗い星まで再現することで本物の星空に近づけるという、自ら切り拓いたコンセプトの意義が認められたということなのだ。そしてそれは海の向こうのギネスが認めるまでもなく、メガスターの公開を見るために行列を作り、上映に感涙する人たちがすでに証明してくれていたことだった。その事実は僕自身が、まさにメガスターを完成させたときに自問自答していたこと――100万個の星に価値があるのか、ということへのひとつの答えでもあった。

メガスターは今も進化し続けている。これからメガスターはどこへ向かうのか。今、いくつかのアプローチが進行中だ。それはあらためてこのコーナーで紹介することにしたい。

ギネス認定

2005年12月19日に日本科学未来館で行われた毛利衛館長とのトークショー。ギネス認定の発表が行われた。