メガスターデイズ 〜大平貴之の天空工房〜

第31回 ネットで楽しむメガスター登場

星ナビ2007年8月号に掲載)

メガスター開発者の大平です。メガスターを使い色々な場で活動していると、本当に面白い出会いや発見、考えさせられることがたくさんあります。先日は、クイズ番組「平成教育委員会」に出演しました。芸能人たちに混じって難関校の入試問題に苦戦! けれど貴重でなかなか楽しい体験でした。

メガスターが3Dグラフィックスに?

去る6月18日に、マイクロソフト社が主催する『Windows Hardware Engineering Conference and Exhibition(WINHEC)2007 Tokyo』が東京の目黒で開催された。年に一度、同社が新製品やサービスなどの重要な発表を行う場である。今年、その記者発表会の目玉となる異色の発表があった。それが、マイクロソフトの最新OS「Windows Vista」に搭載された3Dグラフィックス技術(=WPF)を応用して開発された、メガスターの3D表示ウェブサイト「メガスターオンライン(仮称)」である。

アナログプラネタリウムの真骨頂メガスターと3Dグラフィックス? といぶかしく思う方もあるかもしれない。しかし私はメガスターとは究極にリアルな星空を映し出す目的であって、アナログ光学式の投影機は手段でしかない。もちろん、現時点ではアナログ光学式をそっくり置き換えるデジタル投影技術は(残念ながら)存在しない。

私はここ数年間にわたり、デジタル映像技術を使ってどうメガスターを見せていくか、どのように発展させていくかに力を注いできた。いま、JAXAとのオープンラボという枠組み内の共同研究で、メガスターのデジタル化に向けた開発を進めているのもその一環である。

本物の星空への架け橋

マイクロソフトから、最新OSの技術紹介を受けたのはいつごろだっただろうか。今まで平面的だったウェブサイトが3Dとなり、そこで星空も表示できる。この技術に触れ、私はメガスターを発展させる大きな可能性を感じた。半球状のドーム空間をそのまま四角い画面に収めて再現することは難しいが、スムースに方向設定できる3Dサイトならドーム空間の一部を任意に切り取る形で再現することができる。そしてユーザに何らソフトウエアのダウンロードを求めないウェブアプリケーションなら、より多くの幅広い層を対象にできるし、最新情報を時間をおくことなく反映することができる。まさに夢の技術であり、サービスなのだ。

しかし、私が特に可能性を感じたのは、マイクロソフトとのディスカッションを通じて出てきたキーワードだった。それは「本物の星空へのいざない」である。プラネタリウムの疑似体験(それはもちろん重要だ)だけでなく、本物の星空観察を案内する。今晩どんな星が見えるかな? どこに星を見に行こうかな?という素朴な疑問に応えたいのだ。プラネタリウムの役目は本来そこにある。

もちろん、四角い画面で本物の星空はもちろん、ドーム空間の拡がりを持つプラネタリウムの代わりに成り得るはずがない。けれど、プラネタリウムと本物の星空をつなぐことはできる。

メガスターオンラインは、現在試作版の公開を開始したばかり。まだまだ完成形への道のりは短くないが、星空や天文の楽しみ、魅力をより一層幅広く伝えるサイトに育てていきたいと思う。

発表会のようす

マイクロソフトのプレス発表会にて。

メガスターオンライン

メガスターオンラインを表示させたところ。マウスを使って視点の移動ができるほか、星座線の表示、時間・観測地の指定、ズームアップ・ダウンを行える。

メガスターオンライン(仮)
http://www.megastar.jp/