天王星に新衛星

【1999年5月20日 国立天文台天文ニュース(260)】

アリゾナ大学、月惑星研究所(Lunar and Planetary Laboratory)のカルコシュカ(Karkoschka,E.)は、天王星に、これまで知られていなかった新衛星を発見したと発表しました。

この衛星は、1986年1月18日から23日にかけてボイジャー2号探査機が撮影した7枚の画像から、ノイズレベルの3倍から15倍の信号として検出したものです。 このときボイジャー2号は天王星に接近中で、新衛星はボイジャーから見て6.5等から9.5等の明るさであったと思われ、この明るさを地球から見れば、天王星が衝のときに約23.6等となります。 反射率をその他の衛星と同程度と仮定しますと、新衛星の直径は40キロメートル程度と推測されます。 また、円軌道を仮定しますと、この衛星は天王星から7万6000キロメートル離れたところを公転していることになります。

mgs 環を強調した天王星(NASA/STScI)

この新衛星にまだ名前はつけられていませんが、認識符号は S/1986 U 10 です。 天王星には、これまで15個の衛星が知られていました。 地上観測で発見されていた5個と、探査機が発見した10個、さらに1997年にパロマー天文台で発見された2個を加えた17個でした。 したがって S/1986 U 10 は天王星の18番目の衛星になります。 探査機が発見した天王星の衛星には、ジュリエット、コーデリアなど、シェクスピア劇の女性の名が付けられています。 この衛星にも、多分その線に沿った命名がおこなわれるのではないでしょうか。

参照  IAUC 7171(May 18,1999).