11月12日に新流星群か?

【1999年11月2日】

C/1999 J3(Linear)

11月12日前後、今年5月に発見されたリニア彗星(C/1999 J3) を母彗星とする流星群が出現する可能性が指摘されている。地球がこの彗星の軌道にもっとも近づくのは日本時間で11月12日午前4時40分ころと予測されており、放射点はおおぐま座ガンマ星付近である。この時期を挟んで前後の数日間は注意する必要があるかもしれない。

(左図)1999年11月12日の内惑星と彗星(C/1999 J3)の位置

リニア彗星(C/1999 J3)は1999年5月12日、リンカーン観測所チームによって発見されたひじょうに細長い楕円軌道をまわる彗星で、近日点を通過した9月下旬前後には地球から7〜8等で観測された。この彗星は10月2日に地球軌道からわずか0.011天文単位(170万km)ほど太陽側の場所を通過しており、その約40日後の日本時間11月12日午前4時40分頃、今度は地球がこの彗星軌道にもっとも近い場所を通過するのである。もし彗星が流星のもととなる物質を軌道付近にばらまいているとすると、その流星物質が地球に降り注ぎ、たくさんの流れ星が見られる可能性があるというわけである。

a new meteor shower

放射点の位置は赤経11時40分、赤緯+53度のおおぐま座ガンマ星付近と計算されており、北斗七星のひしゃくに程近い(右図)。この位置を中心に、流星が四方八方に飛ぶようにみえることになる。明け方になるにつれて放射点の位置は高くなり、ちょうど最接近時には日本から好条件で観測することができる。

母彗星が短周期彗星の場合には、彗星が通過した直後に地球がその軌道付近を通過した際、短時間の間に大量の流星が出現した例はこれまでにも報告されている。このようなケースでは、突発的出現は地球が彗星軌道を通過する前後、数日間程度の間に起こっている。最接近時のみならずその前後の日にも注意が必要であるということだ。

しかしながら、今回のリニア彗星(C/1999 J3)は軌道の形がひじょうに細長い楕円軌道であり、おそらく初めて太陽に近づいた彗星であると考えられる。このような彗星の場合、短周期彗星のように何度も太陽に近づいて塵を軌道付近に放出しているわけではないため、その軌道上には流星物質となる塵がほとんどばらまかれていないというのが通説である。また、長周期彗星の軌道に地球が近づいても、これまでそれに起因する流星が見られたという例はないという。このような理由から、今回も流星が出現する可能性は少ないという見方も多い。

とはいえ何が起こるのかは、実際にその時になってみないとわからないというのも事実である。歴史の証言者になるのはあなたかもしれない?

<参照>
C/1999 J3 (LINEAR) の軌道要素と位置推算表
NEW METEOR SHOWER COMING?(SKY & TELESCOPE)
A surprise November meteor shower? (NASA Space Science News)
リニアー彗星(1999J3)からの流星群(府中天文同好会)