ガリレオ、木星に近い3衛星を接近撮影

【2000年4月27日 国立天文台ニュース(343)

木星探査機ガリレオが、もっとも木星に近い衛星の接近画像を送ってきました。  木星の4大衛星でもっとも木星に近いのは、活火山のあるイオです。 イオよりもさらに内側に、テーベ、アマルテア、アドラステア、メティスと4個の衛星が発見されています。 今回画像が得られたのは、そのうちテーベ、アマルテア、メティスの三つです。 残念ながら、アドラステアは撮影することができませんでした。

撮影された衛星の大きさは、アマルテアが直径250キロメートル程度、他の二つはそれより小さく、いずれもじゃがいもを思わせる不整形です。 1月4日に撮影されたこれら画像の分解限度は、テーベで2キロメートル、アマルテア、メティスでそれぞれ2.4および3キロメートルでした。 テーベには直径40キロメートルの大きなクレーターが見られます。 以前の観測からある程度わかっていたことですが、アマルテアには南極近くに大きな明るい斑点があり、直径40キロメートルのクレーター、長さ50キロメートル明るい筋、兎の耳を思わせて影を投げるV字型の二つの山脈なども見られます。 これらの画像は、下に参照したインターネットで見ることができます。

探査機ガリレオは、これまで荷電粒子の直撃を受ける可能性が大きい強い磁場帯を避けるため、あまり木星には近付きませんでした。 しかし、観測ミッションの最後として、危険を覚悟して大きく木星に接近させることにして、これら内部衛星の接近撮影ができたのです。 1月に撮影した画像を4月に発表したのは、打ち上げ当初からガリレオの主アンテナが故障して開かず、画像を送るのに低出力の補助アンテナしか使えないため、送信が完了するまでに数ヶ月を要したからです。 それが、やっと今回の発表につながりました。

ガリレオ探査機による一連の木星探査も、そろそろ終わりが近付いているようです。

参照コーネル大学リリース(Apr.24,2000)
JPL Picture Archive