VLT、矮小楕円銀河に渦巻き構造を発見
【2000年5月8日 ESO Press Release 12/00 (2000/5/3)】
ヨーロッパ南天天文台(ESO)の大型望遠鏡VLTの観測により、おとめ座銀河団の矮小楕円銀河(dwarf elliptical galaxy)IC3328(太陽系から5千万光年程度の距離)に渦巻き構造が発見された。
VLTの1号機「ANTU」のFORS1カメラによりとらえられたIC3328銀河。視野は4分角四方で、上が北、左が東。左は生画像であり、きわめて滑らかな概観をしていることがわかる。右は模様を抽出するための画像処理を行なった画像。画像処理の結果、このように2本の腕を持つ渦巻き構造が発見された。
矮小楕円銀河は小型の楕円銀河のこと。楕円銀河は、見かけの形状は楕円または円で、3次元的にはひしゃげた球形をしており、目立った構造を持たず、星の動きもランダムだ。
今回の観測は、Surface Brightness Fluctuation法と呼ばれる、楕円銀河を用いた距離測定法のためのデータを集めるために行なわれたもので、渦巻き構造が発見されたのはまったくの予想外のこと。楕円銀河に渦巻き構造が発見されたのはこれがはじめてのことだ。
画像提供=ESO