VLTも四散したリニア彗星の核の破片の撮影に成功
【2000年8月10日 ESO Press Photo 20/00 (2000/8/8)】
ヨーロッパ南天天文台(ESO)の大型望遠鏡VLT[*]の1号機「ANTU」が、7月26日前後に崩壊したリニア彗星(C/1999S4)の核の断片をとらえることに成功した。
画像は、8月6日、南米チリ北部に設置されたVLT・ANTUのFORS-1カメラにより撮影されたリニア彗星。1ダース以上の破片が確認できる。移動する彗星を追尾しながらの撮影のため、恒星が線状に写っている。
破片は、直径数十メートル程度と思われる。画像に見られるのは、破片から放出されたチリの広がりが太陽光を反射して輝いているもので、小さな破片そのものが見えているわけではない。
赤フィルター使用。撮影時の大気の状態が良かったため、0.6秒角(1秒角=1/3600度)という優れた分解能の画像が得られた。露出およそ9分、10分、8分の3枚の画像を合成。細部の模様の抽出のためにアンシャープマスク処理されている。画角は横4.5分角、縦2.5分角(1分角=1/60度)。北が上、右が東。
[*] 建設中のVLTは、口径8.2mの4基の大型望遠鏡を組み合わせて、16m級の望遠鏡に匹敵する性能を得ようとするもの。今年初めには3号機がファーストライト(初観測)を迎え、今年中には4号機もファーストライトを迎える予定になっている。
画像提供: ESO
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