最大の小惑星発見か
【2000年12月19日 国立天文台・天文ニュース (400) (2000.12.14)】
これまで知られている中で最大と思われる小惑星が発見されました。その直径は約1000キロメートル程度、これまで最大の小惑星であったケレスを上回り、冥王星の半分程度に達するとも考えられます。
この天体は、地球接近天体の捜索や観測を続けているアリゾナ大学、スペースウォッチ・チームのマクミラン(McMillan, R.)が、キットピーク、スチュワード天文台の口径90センチのスペースウォッチ望遠鏡を使って11月28日に発見したものです。これはなんと、望遠鏡に直接つないだコンピュータ上のリアルタイムの画像を目で見ていて気付いたもので、発見時の明るさは20等、ふたご座エプシロン星の近くでした。比較的明るいこの天体がそれまでコンピュータの検索から逃れていたのは、多分その位置が星の密集している銀河面に近かったためと思われます。その後の観測を加えて、この天体は43天文単位離れて太陽を回っているカイパーベルト天体であることが明らかになり、2000 WR106の認識符号が付けられました。そして、その直径がケレスを超える可能性が高いと指摘されたのです。
海王星より遠くのカイパーベルト天体にしても、火星と木星の軌道の間にあるメインベルトの小惑星にしても、探査機が接近する場合を別とすると、その大きさを直接に測定するのは困難です。これらの天体の大きさは、多くの場合その距離と明るさから推定します。明るいものほど大きいであろうという単純な考え方が根拠です。しかし、この推定は天体の反射率をどうとるかによって変わりますから、求められた小惑星の直径はかなりあいまいなものです。今回の2000 WR106の推定直径も330〜750マイル(531〜1207キロメートル)と報告されていますから、直径900〜940キロメートルの小惑星ケレスより本当に大きいかどうかは、まだ確実ではありません。その大きさにしても、軌道にしても、今後さらに観測で確認することが必要です。
小惑星センターのマースデン(Marsden,B.)はこの発見が重要なものであると評価しながらも、将来、もっと大きい、たとえば冥王星程度のカイパーベルト天体が発見される可能性もあるとの見通しをのべています。海王星より遠い領域は、いまのところ、太陽系の中でも特に探査が不十分な未踏の空間なのです。
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