ボイジャー1号、いよいよ太陽系の最外層部へ
【2000年12月21日 NASA JPL (2000.12.18)】
1977年9月5日にNASAが打ち上げた惑星・深宇宙探査機「ボイジャー1号」は、現在太陽から太陽〜冥王星間距離の2倍も離れた位置にあり、太陽から最も遠くにある人工物である。そして現在もニューヨークからロサンゼルスまでを4分未満で飛びぬけるような高速で太陽から遠ざかっている。
この位置にありながら、ボイジャー1号はまだ太陽系内に位置している。なぜなら、まだ太陽から恒常的に吹き出される荷電粒子の超音速の流れである太陽風の影響が及ぶ範囲であるヘリオスフィア (heliosphere; 太陽圏) の中に位置しているためである。
ボイジャー計画の科学者であり、NASAジェット推進研究所 (JPL) のディレクターを務めるEdward Stone博士によると、ボイジャー1号は、2001年初め〜2003年終わりにかけ、いよいよ末端衝撃波面 (termination shock) を通過する見込みであるという。末端衝撃波面とは、太陽風が恒星間ガスにぶつかって急速に減速される地点である。ここを超えた太陽風はその後も弱くなり、やがて恒星間ガスに完全に溶けこむ。この地点をヘリオポーズ (heliopause) といい、ここはヘリオスフィアの終わりであり太陽系の終端である。
ただしStone博士によると、この見込みは外れるかもしれないという。なぜなら、2000年に太陽活動が極大期を迎えた影響から、今後3年のうちにヘリオスフィアの範囲が広がると考えられるためだ。この拡大速度はボイジャー1号の速度よりも速いと思われるため、もしかしたらさらに数年は末端衝撃波面に到達できないかもしれない。しかし、ボイジャー1号がヘリオスフィアの拡大前に末端衝撃波面に到達することができれば、素晴らしいことであるという。なぜなら、その後ヘリオスフィアが拡大してきた際にもう一度末端衝撃波面を観測できるためだそうだ。
Stone博士によると、末端衝撃波面がどこにあるのかを知ることは、太陽系の終端であるヘリオポーズがどこにあるのかについてより正確に見積もる上で重要ということだ。