[VLT] 初期宇宙の3次元構造を確認
【2001年5月24日 ESO Press Release 11/01 (2001.05.18)】
ヨーロッパ南天天文台 (ESO) とデンマークの物理学・天文学研究所の研究チームが、ESOの8.2メートルVLT望遠鏡を用いた観測により、初期宇宙の3次元構造を確認することに成功した。
現在のさまざまなコンピュータ・シミュレーションが共通して示すところによると、初期宇宙は局所的には複雑に「糸」がからまりあったくもの巣状の構造をしており、くもの巣を構成する「糸」に沿って多数の銀河が生成されていたとされている。そして全体としては、くもの巣状の構造が多数連なってスポンジ状となっていたという。これは、脳内の神経細胞の構造によく似ている。そして、それぞれのくもの巣の中心部が、後の銀河団となったとされる。
今回研究チームは、赤方偏移3 (ビッグバンを150億年前とした場合、約130億年前に対応) のクエーサー「Q1205-30」を中心に、いくつかの微光銀河の距離を測定し、3次元構造を得ることに成功した。その結果、クエーサーを含む7個の天体が、一本の細い「糸」のなかにすっぽり納まることがわかった。
この結果は、コンピューター・シミュレーションが示す初期宇宙像によく整合する結果といえる。