エウロパの表面の氷は 3km 以上の厚さ
数値シミュレーションで解明
【2001年11月15日 The University of Arizona News(11 月 8 日)】
木星の衛星の一つエウロパには表面の下に液体の水の海が隠されているかもしれないと考えられている。そのエウロパにあるクレーターの数値シミュレーションから、表面の氷の厚さは少なくとも 3〜4km 以上であるということがわかった。
アリゾナ大学月惑星研究所の Elizabeth P. Turtle と Elisabetta Pierazzo は、ガリレオ探査機やボイジャーが観測した 28 個のインパクトクレーター(衝突によってできたクレーター)のうち中央のピークが目立つ 6 個について研究をおこなった。これらのクレーターはどれも直径が 5km 以上ある。クレーターの構造から判断すると、衝突によってエウロパの表面の氷が完全には蒸発したり溶けたりしていないことがわかる。この観測事実と数値シミュレーションの結果をあわせると、氷殻の厚みは少なくとも 3〜4km になるということだ。
この氷の層の厚みについては熱い議論が交わされている。1 〜 2km しかないという人もいれば、その 10 倍は厚いという人もいる。また、その下に液体の水の海が隠されているかもしれないという点も興味深い。2008 年に NASA が計画しているエウロパ探査計画では、その海を見つけたり、海を調べるためのレーダーなどの機器を搭載しようという案がある。そのためには、その上にある氷の厚みを前もって知らなければならないというわけだ。
厚い氷の層のほかに、温かくて対流している氷もあるかもしれないという説もある。こういった説の検証も含めて、さらなる研究が予定されている。