リニア彗星 P/2001 X3 はテンペル・スイフト彗星 11D の再来
村岡さん、ハーゲンローザ氏が同定
【2001年12月21日 アストロアーツ】
今月 7 日に発見されたリニア彗星(P/2001 X3)は、高知県の村岡健治さんとハーゲンローザ氏の軌道計算により、長く見失われていたテンペル・スイフト彗星(11D)の再来であることがわかった。
テンペル・スイフト彗星は 1869 年に発見された公転周期 5 年ほどの周期彗星。1908 年までに 4 回の出現が確認されたが、その後は見失われていたいわゆる「ロストコメット」のひとつだった。村岡さんは、7 日に発見されたリニア彗星(P/2001 X3)の軌道がテンペル・スイフト彗星の軌道に似ていることに気がつき、軌道を計算した。村岡さんが計算した連結軌道は、1891 年から 2001 年までの 89 個の観測をごくわずかな誤差で表わす決定的なもので、リニア彗星の軌道と見事に一致している。
村岡さんは、東亜天文学会から発行されている彗星年表の軌道計算を手がけており、今回は自ら計算した予報軌道から同定に至ったもの。見失われていた彗星の同定は、小惑星センターの関係者によって行われることが多く、アマチュア天文家の手による同定は、快挙と言える。なお、村岡さんは、月刊星ナビ連載中の上尾ニュースの軌道計算者としても活躍中だ。