チャンドラが撮影した我々の銀河系中心
【2002 年 1 月 17 日 Chandra Photo Album】
NASA の X 線観測天文台チャンドラが天の川銀河系の中心を撮影した写真が公開された。30 枚の写真を合成したこの写真には、銀河の中でもっとも活動的な領域である中心付近についての理解を深めるための多くの情報が隠されているに違いない。
この写真はチャンドラに搭載された CCD 撮像分光装置(ACIS)によって撮影されたもので、400×900 光年の領域をカバーしている。数多くの白色矮星や中性子星、ブラックホールなどが、銀河中心にあると考えられている巨大ブラックホールの周囲にある超高温で光り輝くガスの中に分布している。
今後のデータ解析によって、銀河中心領域における星やガス、チリなどの相互作用のようす、さらに磁場や重力の影響などを調べることができるだろう。現在までの結果としては、これまでは高温ガスから放射されていると考えられていた X 線のうち大部分は個々の X 線源から発せられていることがわかった。この説によれば、高温ガスの温度は従来の 10 倍近くも低い 1000 万度程度だということである。
銀河中心は高温高圧のガスや強い磁場に支配された過酷な世界で、激しい星形成や頻繁な超新星爆発が起こっている。また、中心の活動は銀河全体の進化に大きな影響を与える。天の川銀河系の中心の研究が進めば、他の銀河の中心のことももっとよく理解できるようになるだろう。