すばる望遠鏡が捉えた宇宙の宝石箱
【2004年2月24日 すばる望遠鏡 / 国立天文台・天文ニュース(702)】
すばる望遠鏡の主焦点カメラSuprime-Camが捉えた、矮小不規則銀河と呼ばれるタイプの銀河の画像が公開された。色とりどりの星々や星形成領域が写し出されており、「宇宙の宝石箱」と呼ぶにふさわしい美しい姿を見せてくれている。
すばる望遠鏡が捉えたのは、ろくぶんぎ座にある銀河「ろくぶんぎ座A」で、地球からは500万光年離れている。ろくぶんぎ座Aは天の川銀河系やアンドロメダ大銀河などから構成される局部銀河群に属する銀河の1つで、これまでに見つかっている銀河の中では40番目くらいに近い銀河だ。
矮小不規則銀河というのは、その名のとおり小さく不規則な形をしており、ろくぶんぎ座Aの場合、質量は天の川銀河系の1000分の1しかない。しかし、内部には多量の中性水素ガスが分布しており、活発な星形成活動をしている。
矮小不規則銀河の多くは、銀河本体よりも大きく広がった中性水素ガスを持っており、このろくぶんぎ座Aの場合にも同様の広がりが電波観測から発見されている。しかし、その広がった中性水素ガスの起源や、ガスが銀河の星形成に与える影響などについてはよくわかっていないようだ。今後、すばる望遠鏡の高い能力を活かした観測により、謎が解き明かされていくことを期待したい。