「高温の木星型系外惑星」の恒星面通過が捉えられた

【2004年5月20日 ESO Press Release

「ホットジュピター(高温の木星型惑星)」というタイプの太陽系外惑星が2つ新たに発見された。これらの惑星は、多数の重力レンズ現象を観測するOGLEサーベイ(The Optical Gravitational Lensing Experiment Survey)によって明るさの変化が観測され、追認観測によって太陽系外惑星と確定されたものだ。

(OGLE-TR-113を中心に捉えたの画像)

(OGLE-TR-132を中心に捉えたの画像)

(上)OGLE-TR-113、(下)OGLE-TR-132。それぞれクリックで拡大(提供:ESO)

OGLEサーベイでは、明るさが周期的に変化する天体がこれまでに140個ほど見つかっている。この明るさが変化する理由の1つに、恒星の前を惑星が通過する「恒星面通過」現象で暗くなることが挙げられる。そこで、明るさの変化が惑星の恒星面通過によるものかどうかを確かめるため、今年3月に41個のOGLE天体の視線速度の変化が調べられた。この視線速度の変化や明るさの変化などのデータから、2つの天体がそれぞれ木星のような巨大惑星を持っていることが確かめられたのである。

このうちOGLE-TR-113は、われわれから6000光年の距離にある。その周りを巡る惑星は、質量は木星の約35%大きく、大きさは木星の10%大きい。そして、恒星からわずか340万キロメートル(太陽から水星の17分の1)の距離を1.43日周期で公転している。これほど近距離にあるために、惑星の表面温度は1800度以上と考えられている。もう一方のOGLE-TR-132の惑星は、やはり木星と同程度に大きな惑星で、恒星から460万キロメートルの距離を1.69日周期で公転している。

これまでにもOGLE-TR-53という同様の惑星系も発見されており、高温の木星型惑星の発見はこれで3例目となる。このような惑星がどうやってこれほど恒星の近距離の軌道を公転するようになったのかについては、大きな謎だ。

いずれにせよ、恒星面通過による明るさの変化と視線速度の観測は、系外惑星の質量や大きさなどの特徴を知る上で新たな観測の扉を開いたと言ってよいだろう。今後は、COROT(COnvection, ROtation & planetary Transits)やKEPLERといった宇宙からの観測と地上に設置された望遠鏡とが協力した観測が行われるようになる。いずれ、広い宇宙のどこかにある、われわれの住む地球と同じような小さな世界についても明らかにされる日が来ることだろう。