ハッブル宇宙望遠鏡がせまる、銀河の夜明け
【2004年10月5日 Hubble Newsdesk】
NASAのハッブル宇宙望遠鏡によるハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールドの観測、研究から、宇宙のもっとも初期に星を生み出した可能性のある銀河の存在がつきとめられたようだ。いよいよ宇宙最後の境界とも言えるような領域の謎がまた1つ解明されようとしている。
今回の発表では、複数の研究グループからの結果が報告されている。宇宙のもっとも初期、誕生から10億年と経たないころの宇宙には矮小銀河が多く存在していたことが明らかになったが、これらの銀河が宇宙の再イオン化に重要な役割を果たしたのかどうかについては意見が分かれている。
また、赤方偏移パラメータz=5.9(およそ125億年前)の範囲に銀河がシート状に集まっているところも発見されている。この領域の銀河の集中度は、HUDFの他の領域と比べて4倍も高い。この発見は、宇宙最初の銀河形成の始まりの場が、密度の高い場所で起こったという仮説を支持するものだ。また、HUDFよりさらに広範囲をカバーするの銀河マップでも、シート状に広がる銀河の存在が示されている。このように銀河が集中しているところでは、多くの銀河からの紫外線によって宇宙の再イオン化が影響を受けたのだろう。
今回の成果はハッブル宇宙望遠鏡のACSカメラなどの高い性能によってもたらされたものだが、次世代宇宙望遠鏡では、さらに過去へとさかのぼり、宇宙最初の星や星の集団が捉えられると期待されている。ハッブル宇宙望遠鏡によって宇宙年齢の95%という遠方の領域まで目が向けられてきたが、その先の残り5%に向けて、研究者たちの挑戦は続けられる。