明け方に木星と金星の接近ショー

【2004年10月28日 国立天文台 アストロ・トピックス(60)

11月上旬、明け方の東の空で天文ショーが見られます。明けの明星(みょうじょう)として輝く金星と木星が接近しているようすを見ることができます。

金星は、-4等級と惑星の中ではとびきり明るく、それだけでとても美しいものです。これに-1.7等級の木星が加わります。2つの惑星は次第に近づいていき、11月5日の早朝に一番接近して見えます。もっとも接近するのは11時で、このときのお互いの距離は、なんと0.5度です。ちょうど月の視直径(見た目の直径)分しか離れていないという大接近になります。

金星と木星は、しばしば近づくのですが、ほとんどの場合、太陽の近くで起きることが多く、これだけ条件がよい接近が見られるのは珍しいことです。前回、この距離まで接近した2つの惑星が見られたのは、1999年2月23日の夕方で、それ以来5年ぶりとなります。また、この次に接近が見られるのは4年後の2008年2月2日早朝まで待たなくてはなりません。

5日を過ぎると、2つの惑星は再び離れていきます。しかし、今回の天体ショーには、さらにもう1つの山場が待っています。11月10日には、この離れつつある金星と木星との間に、月がすっぽりと入り込んでしまうのです。月齢26.7という、とても細い月が木星と金星を従えて輝くという、まさに3天体の競演というわけです。暁(あかつき)の茜色(あかねいろ)をバックに、金星・月・木星が並んで輝くようすは、この上もなく美しい星景色となるに違いありません。なお、このようすは8日から12日にかけて連続して見てみるのも面白いかと思います。ぜひ早起きして眺めてみたいものです。

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