銀河どうしの衝突が星を誕生させる直接的証拠

【2005年4月15日 ESA Space Science

ESA(ヨーロッパ宇宙機関)のISO(赤外線宇宙天文台)の観測データから、超新星爆発以外にも、銀河どうしの衝突による衝撃波によって、新しい星の誕生が引き起こされる直接的証拠が得られた。また、同観測結果は、初期宇宙における最初の星の誕生や、その形成スピードの加速プロセスについても重要なヒントをもたらす結果となった。

(アンテナ銀河の画像)

アンテナ銀河。白い点線で囲まれた部分が銀河どうしが重なりあっている領域。クリックで拡大(提供:HST image, ESA/NASA)

ISOが観測を行ったのは、われわれから6000万光年離れたアンテナ銀河(NGC 4038とNGC 4039)である。2つの銀河は衝突の初期の段階にある。ドイツの研究チームが、重なり合っている領域(右の図中、白い点線で囲まれた領域)で水素分子が励起している様子を発見した。これは最初の星が形成される前の段階だと考えられる。この領域では、超新星爆発の数は極端に少ないことから、銀河の衝突エネルギーが衝撃波で運ばれた結果、水素分子が励起されたのだと見られている。今まで、このような段階にある領域についての詳しい情報は得られていなかったため、貴重な観測結果となっている。

原始銀河どうしが衝突を起こしていた初期宇宙でも、衝撃波は宇宙最初の星の誕生を引き起こし、さらに、星の形成スピードを加速する役割を果たしていたのだろう。同研究チームによる予測によれば、今後数百万年の間に、アンテナ銀河の明るさは現在の2倍になる。