ハッブル宇宙望遠鏡の最高画質!回転花火銀河M101
【2006年3月19日 Hubble NewsDesk】
ハッブル宇宙望遠鏡(HST)といえば、天文ファンならずとも高画質の天体写真で有名だ。また、十数年もの運用期間の間に撮影した画像の量も相当な数に上る。そして、この「量」がさらに写真の「質」を高めることができるのだ。NASAが新しく公開した渦巻き銀河M101の画像は、なんと15,852×12,392ピクセル。この、渦巻き銀河をとらえた画像としては最大にしてもっとも細かい一枚は、これまでHSTが撮影してきた51枚の画像に、さらに地上の望遠鏡が撮影した画像を合成することで完成した。
M101は、われわれから2,500万光年離れた、おおぐま座に位置する渦巻銀河だ。銀河円盤の直径は17万光年と、天の川銀河の約2倍。少なくとも1兆個の星があり、われわれの太陽と同じような恒星だけでも1千億個存在するだろうと考えられている。その外見から「回転花火銀河」の別名をもつM101だが、その腕ではまさに爆発的に星が生まれている。水素の巨大な分子雲から生まれた高温で青白く若い星の星団が、腕に沿って点在している。
このように星々がひしめきあうM101だが、その円盤は意外に薄く、奥の銀河がいくつも透けて見えているのがわかる。
HSTは幾度もM101に目を向けてきた。その目的は実に様々だ。宇宙の膨張率を求めるため、星形成領域における星団の形成を研究するため、強いX線源の正体を知るため、青色超巨星を探すため……。そのデータをすべてこのために総動員したのだから、贅沢な一枚だ。なお、合成に使われたのは、1994年から2003年にかけてHSTが撮影した画像と、ハワイ・マウナケアにあるカナダ-フランス-ハワイ望遠鏡、キット・ピーク天文台の0.9メートル望遠鏡、アメリカ国立光学天文台の画像で、青、緑、赤(赤外線)の三色のフィルターで撮影したもの。
なお、リリース元では様々なサイズの画像をダウンロードできる。もちろん、15,852×12,392ピクセルの画像も用意されている(!)。
M101 : おおぐま座の渦巻銀河。真上から渦の広がりを見ることができるので、写真では美しい姿を見せる。超新星1909A、超新星1951H、超新星1970Gと、過去3度の超新星出現が記録されている。(「最新デジタル宇宙大百科」より)