田舎生まれの恒星は意外と多い?
【2006年8月16日 Spitzer Press Release】
星の一大生産地帯であるオリオン座大星雲。ここで生まれた若い星の分布が明らかになった。若いの星の90パーセント、つまりほとんどが数百個単位で星団としてまとまっているだろうとの研究家の予測に反し、観測されたうちの25パーセントの若い星は孤立して存在していることなどが明らかとなったのだ。
われわれから1450光年の位置にあるオリオン座大星雲を含む分子雲は、星の大工業生産地といったところで、恒星誕生を知るための重要な観測対象となっている。NASAの赤外線宇宙望遠鏡スピッツァーは、この中から若い星をとりまく円盤を約2300個発見し、それらの性質を明らかにした。
観測された1つ1つの円盤では、ガスやちりが若い太陽のような星の周りを回っており、太陽系と同じような惑星系が形成される可能性がある。今まででもっとも詳細な分布が得られたことで、スピッツァー・サイセンスセンターのJohn Stauffer博士は「これらデータの分析から、われわれの太陽のような星が生まれる環境を決定することができるようになるだろう」と話している。
注目すべきは、こうした若い星が潜む環境だ。全体の60パーセントの星が「大都市」とでも言える数百個規模の星団に存在し、15パーセントは数個の星から成る小さなコミュニティー「町や村」に身を寄せていた。そして、驚くほど多い25パーセントの星が、「人里」離れて単独で存在しているのだ。これは、円盤を持つものも持たないものも含めた約90パーセントの若い星が、すべて星団に存在しているだろうとの予測と反している。
今や壮年期を迎えたわれわれの太陽は、まだ幼かった頃はどんな環境で育っていたのだろう?ほとんどの科学者は、「都会っ子」だっただろうと見ている。しかし、オリオン座大星雲にも見られるような生まれたばかりの星は、時間と共に兄弟と別れ別れになってしまう。そのため、大人の恒星の出身地を探すのはひじょうに困難だ。