肉眼等級に達するか、低空のロニオス彗星
【2007年10月5日 アストロアーツ】 10月9日更新
ロニオス彗星(C/2007 F1)が、今月末の近日点通過を前に増光中だ。4等級まで明るくなるという予想もあり、低空ながら注目したい。
ロニオス彗星(C/2007 F1)は、3月19日にローエル天文台のロニオス(Lowell Observatory Near-Earth Object Search; LONEOS、ロネオスとも)チームによって発見された。発見時には19.5等級であったが、太陽と地球に接近するにつれて増光し、9月末には8等級に達している。今月末には近日点(太陽にもっとも接近する点)を通過して太陽から0.4天文単位まで近づき、同時期に地球からももっとも近くなる(0.7天文単位)ため、月末に向けてさらに明るくなりそうだ。月刊星ナビ誌上で記事連載中の吉田誠一氏によれば、4等級になると予想されている。
ロニオス彗星は、10月中旬ごろまでは明け方の東北東の低空に、それ以降は夕方の西の低空に見られる。ただし、日没1時間後および日出1時間前の地平高度は10度未満しかない(東京の場合)。予想どおりの明るさとなったとしても、肉眼での観察は困難かもしれないが、双眼鏡を使うと比較的見つけやすいだろう。
とくに19日から21日にかけては、うしかい座の1等星アルクトゥールスと接近するので、西の空が開けたところでアルクトゥールスを目印にして彗星を探してみよう。19日には、うしかい座η(2.7等)に30分角まで接近する。なお、19日が上弦なので、月明かりの影響はさほどないだろう。また、日没は17時ごろである(東京の場合)。
双眼鏡では、地上風景や太陽が沈んだ方向(夕方の場合)を頼りにして、地平線から上に視野を振って彗星を探してみよう。薄明中の彗星は、ほんのり集光した淡く小さな像なので、双眼鏡をゆっくり動かしながら注意して探そう。
まだ空が明るくても、デジタルカメラなら彗星像をとらえられるかもしれない。見られる方向を、露出時間を変えて撮影し、モニタの拡大表示で探してみてほしい。
ロニオス彗星(C/2007 F1)の軌道要素
(計算:村岡健治氏)(※角度に関する要素は2000.0年分点)
近日点通過(T) | 2007年10月28.75937日 |
---|---|
近日点距離(q) | 0.4023698 AU |
離心率(e) | 1.0000835 |
近日点引数(ω) | 153.71202゚ |
昇交点黄経(Ω) | 172.88826゚ |
軌道傾斜角(i) | 116.08441゚ |
元期(Epoch) | 2007年10月27.0日 TT |
位置推算表 / 天体グラフ(ともにステラナビゲータ Ver.8で出力)
《ステラナビゲータで彗星の見え方をシミュレーション》
ロニオス彗星(C/2007 F1)の位置を天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ Ver.8」で表示して確認できます。ステラナビゲータを起動後、「データ更新」を行ってください。
また、今月注目の彗星を手軽に星図に表示するスクリプトを「コンテンツ・ライブラリ」で公開しています。ステラナビゲータの「コンテンツ・ライブラリ」からファイルをダウンロードし、実行してください。