明るい状態が続くホームズ彗星

【2007年11月2日 国立天文台 アストロ・トピックス(343)

大バーストを起こし注目を集めているホームズ彗星(17P)は、明るさを保ちながら、拡散し続け、日増しに大きさが変化している。このホームズ彗星(17P)は、過去にも大バーストを起こし、満月ほどの大きさとなり、その後2度目のバーストも起こした。今回は、果たしてどんな変化を見せてくれるのだろうか。


アストロト・ピックスより

国立天文台 アストロ・トピックス(342)でお知らせしたように、急激に増光したホームズ彗星(17P/Holmes)は、2等から3等の明るさに達した後、その光度を保ったまま、次第に拡散し、ぼやっとした姿になりつつあります。

10月の24日から25日にかけて、約14等(約40万倍)も明るくなるという歴史的な増光現象(アウトバースト)を起こしたホームズ彗星ですが、現在、世界中で観測が行われつつあります。国立天文台でも様々な観測が行われていますが、増光初期に比較し、彗星のコマと呼ばれる頭部が次第に広がってきていることが見てとれます。これは、アウトバーストに伴って、一時的に噴出した塵やガスが、そのまま宇宙空間で広がっていることを示唆しています。彗星のアウトバースト、特にこのような規模の大きな現象は一時的であることが多く、その後、彗星核から引き続いて物質が放出され続けることは滅多にありません。したがって、拡散していく物質は、増光初期に放出されたものと考えられます。

これまでの国立天文台の観測では、みかけの直径は一日あたり約1.3分角程度のスピードで大きくなりつつあります。最初は、低倍率の望遠鏡でもほとんど恒星と区別が付かないほどでしたが、すでに双眼鏡でも、ぼやっと広がった彗星らしい姿を眺めることができるようになっています。なにしろ人類がこれまで目撃したことがないような規模の現象ですので、今後、この彗星がどのように変化していくかについては、なかなか予想は難しいのですが、この拡散スピードを保つとすれば、そのみかけの大きさは、11月中旬前後には満月大になるでしょう。

これから11月中旬にかけては、月明かりの邪魔がなくなりますので、条件さえよければ、真っ暗な夜空に肉眼でも大きな雲状のホームズ彗星の姿が眺められるはずです。ただ、拡散するために、見にくくなることは覚悟してください。また、彗星に特有の尾はほとんど見えないと予想されます。彗星の尾は、一般に太陽と反対の方向に伸びていきますが、今回のホームズ彗星の位置は、地球から見て太陽と反対方向に近いため、尾が発達したとしても、視線方向に伸びてしまって見えにくいからです。

国立天文台では、この希有な現象を起こし、明るいまま拡散を続けるホームズ彗星を多くの人に眺めていただくため、「ホームズ彗星を眺めよう」緊急キャンペーンを企画しました。11月2日から10日間ほどの間、夜空にホームズ彗星を探していただき、見ることができたかどうかを報告してください。携帯電話からも参加可能ですので、これまで彗星を眺めたことのない方も、ぜひお気軽にご参加ください。また、2日と8日の夜、天候に恵まれれば、インターネットによる彗星の生中継も予定していますので、ご期待下さい。

<参照>

<関連リンク>

<関連ニュース>