系外惑星、ついに300個時代に突入(2/2)
【2008年7月7日 アストロアーツ】
田村元秀さん(国立天文台太陽系外惑星探査プロジェクト室長)
− 系外惑星に関しては海外からも驚くようなプレスリリースがたびたび発表されていますが、系外惑星の図版はいつも実写ではなくアーティストが描いた想像図(イラスト)ですね。
系外惑星(候補)の発見数の勢いはとどまることを知りませんが、系外惑星の直接撮像の確たる例は依然としてまだないのです。
− 直接撮像の一番乗りをめざすプロジェクトは進んでいますか?
はい。今年度末からはすばる望遠鏡の新規装置HiCIAO+188素子補償光学による系外惑星・円盤探査プロジェクトSEEDSが始まる予定です。期待してください。
− いよいよ系外惑星の実写画像を見られる日がやって来そうですね。すばる望遠鏡の成果を楽しみに待っています。
須藤 靖さん(東京大学大学院理学系研究科物理学専攻教授)
− トランジット惑星の重要性は?
トランジット惑星は、ドップラー法だけでは不可能な、惑星のサイズ、密度、大気、反射光、ロシター効果(惑星を持つ恒星が見かけ上遠ざかったり近づいたりして見える効果)など多様な情報を提供してくれます。
− 今後はどんな惑星が発見されると期待されていますか。
トランジットを用いた地球型惑星の発見、さらには海が存在できる領域(ハビタブル・ゾーン)にあるハビタブル惑星の発見もじゅうぶん視野に入ってきています。今後数年以内には、これらのマイルストーンとなるような重要な発見がされる可能性が高いといえます。
− ハビタブル惑星の発見ということは…。いずれ生命惑星が発見される日も近いのでしょうか。人類にとって記念すべき発見になりますね。
「人類の存在は必然か偶然か」という本質的な疑問が科学的に議論できる日が近づきつつあることを実感します。
− 今後もこの分野に注目します。本日はありがとうございました。
発見数が増えること自体が科学的に重要な時代は終わり、発見された惑星がどんな重要な情報をもたらしてくれるのか、つまり発見の数よりも質が問われる時代を迎えているようだ。太陽系外の地球型惑星の発見、そして生命惑星発見の期待も高まっており、系外惑星研究は今後ますますホットな分野であることは間違いない。