1つの恒星のまわりに、3つの惑星の姿
【2008年11月18日 Gemini Observatory】
1つの恒星のまわりを回る3つの惑星が1枚の画像にとらえられた。複数の惑星が同時に撮像されたのは、これが初めてのことだ。惑星の質量は木星の7〜10倍ほどと計算されている。
ジェミニ北望遠鏡とケック望遠鏡が、1つの恒星のまわりを回る3つの惑星の姿を直接とらえた。公開された近赤外線画像には、惑星の姿が赤い点として見えている。
研究チームのメンバーで米・ローレンス・リバーモア国立研究所のBruce Macintosh氏は、「これまで新しい系外惑星が発見されるたびに、私たち研究者が見てきたのは、恒星の明るさや速度を示すグラフに描かれた波状の線でした。しかし今は、惑星そのものをとらえた画像があるわけですから、とても興味深いことです」と話している。
ペガスス座の方向約130光年の距離にあるHR 8799のまわりにこれらの惑星が誕生したのは、6000万年ほど前と考えられている。惑星は若く、まだ収縮が続いていて、熱を放出している。その明るさや色の分析から、3つの惑星HR 8799 b、c、dの質量は、bが木星の約7倍、cとdが約10倍と見積もられている。
また、HR 8799から惑星までの距離は、HR 8799 b、c、dそれぞれ、地球・太陽間の約24倍、37倍、67倍である。そのうち、HR 8799 bの外側には、ちりの円盤が存在している。
この円盤は、地球から300光年の範囲においては、もっとも大きなものの1つである。ちりが豊富にある大きな円盤では、恒星から遠く離れた位置に大きな惑星が形成される可能性が高い。つまり、中心に明るい恒星があっても、そこから遠く離れた位置に形成された惑星の検出は容易となるのである。