太陽そっくりの星に、地球に近い惑星
【2009年12月25日 US SANTA CRUZ】
太陽ほどの質量を持つ2つの恒星に、合計6個の惑星候補天体が見つかった。確認された系外惑星はいずれも比較的質量が小さく、中でも2つの惑星は岩石と水からなる「スーパーアース」であるとみられている。
米国のリック天文台とカーネギー研究所の「リック・カーネギー系外惑星サーベイチーム(The Lick-Carnegie Exoplanet Survey Team)」は、おとめ座61番星(61 Vir)のまわりに、3つの惑星を検出した。質量は最大のものが地球の約25倍、いちばん小さいもの(61 Vir b)はわずか5倍程度と計算されている。
地球から28光年の距離にある 61 Vir は、太陽系近傍では年齢や質量などの特長がもっとも太陽に似ている恒星で、長年研究者から注目されている。
チームを率いたカリフォルニア大学サンタクルズ校の Steven Vogt 教授は、「今回の発見は、ご近所の恒星のまわりでは、質量の小さな惑星がありふれた存在である可能性を示唆しています。潜在的に居住に適した惑星も、数年のうちに発見されるかもしれません」と話している。
61 Vir もまわりでは以前にも、ちりがリング状に集まっていることがわかっている。これは太陽系と同じように、惑星軌道のさらに外側に彗星のような氷天体が散在していることを示唆するという。61 Vir 系は太陽系に実に近い惑星系だと言える。3つの惑星はいずれも恒星に近いが、地球のように生命に適した距離に、惑星が見つかる可能性も残っている。
同チームは、くじら座の方向76光年の距離にある恒星 HD 1461のまわりにも、地球の7.5倍ほどの質量を持つ惑星 HD 1461b を発見した。さらに2つの惑星が存在する可能性もあるという。HD 1461 も、太陽によく似た性質の恒星だ。
61 Vir b と HD 1461b の質量はともに地球と天王星の中間程度だ。地球は金属と岩石でできていて、天王星は主に氷でできている。2つの系外惑星がどちらに似ているかは不明だが、もっとも可能性が高いのは、岩石の中心核が厚い水の層に包まれているという組成だ。ただし、両者とも恒星にひじょうに近いため、生命の生存には適さない。
最近は天文衛星による系外惑星の発見が多いが、サーベイチームが利用したのは、豪州のアングロ・オーストラリア望遠鏡と米国ハワイ州のケック望遠鏡だ。カリフォルニア大学サンタクルズ校の Gregory Laughlin 教授は語る。「生命に適した系外惑星第一号を見つけるのは宇宙の装置か地上の装置か、いい勝負になってきました。数年前なら宇宙からの検出にチップを賭けたと思いますが、今はコイントスですね。最近の地上装置による検出方法は、私たちにとりわけ近い位置の居住可能惑星を見つける可能性を秘めているので、わくわくしますよ」