坪井さん、こぐま座の銀河に超新星2010giを発見
【2010年7月20日 VSOLJニュース(245)】
広島市の坪井正紀さんが、こぐま座の銀河IC 4660に超新星2010giを発見した。坪井さんによる超新星発見は、今年1月のSN 2010Bにつづいて2個目となる。
VSOLJニュースより
ほぼ全国的にいちどきに梅雨が明け、夏の天体観測も本番を迎えたところです。そんななかいち早く、超新星が発見されました。発見者は広島市の坪井正紀(つぼいまさき)さんで、今年1月の超新星2010Bに続いての発見です。母銀河は比較的近いもので、これからの振る舞いが大いに楽しみです。
坪井さんは、7月18.514日(世界時、以下同様)に30cm望遠鏡で撮影した画像に、15等台の新しい光点を見いだしました。5月に同じ機材で撮影した画像には写っていません。天体は、宮城県大崎市の遊佐徹(ゆさとおる)さん、カナダのドミニオン天文台のバラム(D. Balam)さんによって確認されました。天体の位置は以下のとおりで(坪井さんによる測定)、こぐま座とりゅう座の境界(わずかにこぐま座側)にある渦巻銀河IC 4660の中心角から東に3秒角、南に10秒角ほどのところにあたります。
赤経 17時21分46.1秒 赤緯 +75度50分45.4秒 (2000年分点) IC 4660周辺の星図とDSS画像に表示した超新星
この銀河は、かなり私たちから近い距離にあると推定され、もし「核爆発型超新星」であれば、発見時よりもさらに明るくなる可能性もあります。今後の分光タイプの判別や、光度変化の追跡が注目されます。
核爆発型超新星
超新星には大きく分けて「核爆発型超新星」と「重力崩壊型超新星」がある。すでに生涯を終えた恒星の燃えかす(白色矮星)に大量のガスが降り積もり、暴走的な核融合反応で爆発するのが「核爆発型」。太陽に比べてひじょうに重い恒星が燃料を使い切ってしまい、自分の重みに耐えきれずに崩壊するのが「重力崩壊型」。(天文ニュース:2007年5月8日 理論上最大の恒星による、観測史上最大の超新星より抜粋)
超新星2010giの位置
この天体を天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ」で表示して位置を確認できます。ご利用の方は、ステラナビゲータを起動後、「データ更新」を行ってください。
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