マーズエクスプレスが捉えたアレス峡谷
【2011年10月13日 ヨーロッパ宇宙機関】
ヨーロッパ宇宙機関(ESA)の火星探査機「マーズエクスプレス」が捉えたアレス峡谷の画像が公開された。風化か浸食によってほとんど消えかかっているクレーターや水が流れた後のようなものが確認できる。
アレス峡谷は1997年にNASAの火星着陸機「マーズパスファインダー」が探査を行った領域で、おそらく38億年ほど前に大量の水が流れたと考えられている。
今回マーズエクスプレスが捉えた画像は、今年の5月11日に撮影されたものである。画像2枚目、1と書かれた領域は、直径32kmほどのオライビクレーターだ。クレーター内部は堆積物で覆われており、その縁の一部は浸食を受けて崩れてしまっている。これは過去に大規模な水の流れがあったことを示しており、領域2のような切り立った土手のようなものや、平行に何本も走っている川底のようなもの、領域3の線状の島も同時に形成されたと考えられる。
領域4には、ほとんど消えかかっている「幽霊クレーター」が見える。かつては綺麗な衝突クレーターだったものが、水や風などによって風化し、クレーターの内部に堆積物や天体衝突による噴出物が降り積もることで、クレーターがほとんど消えかかっているように見えていると考えられる。
領域5はおおよそ幅4km程度の地すべりの跡と考えられ、衝突クレーターができるのとほぼ同時にできたものであろう。またその内部に小さいが綺麗なクレーターが残っていることから、これらのクレーターは比較的最近(〜2000万年前)に作られたものだと思われる。
火星にかつて水があったことは確実視されているが、それがどの程度の規模だったのかという点については議論が続いている。このような探査機による画像の解析によって、謎が解明されることが期待されている。