日食に沸いた朝 ベイリーズビーズも観測

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【2012年5月22日 アストロアーツ】

21日朝、日本全国で太陽が大きく欠ける日食が見られた。太平洋側の広い地域では太陽がリング状になる金環食が観測され、国内では25年ぶりに見られる光景に多くの人が見入った。


埼玉県上尾市で撮影されたリング状の太陽

埼玉県上尾市で撮影されたリング状の太陽。クリックで拡大(撮影:門田健一)

長野県の信州スカイパークで観測されたベイリーズビーズ

長野県の信州スカイパークで撮影されたベイリーズビーズ。クリックで拡大。YouTube動画(撮影:大熊正美)

東京スカイツリー越しの金環日食

オープンを翌日(22日)に控えた東京スカイツリー越しの金環日食。「日食観察プレート」を使って日食と景色を同時に見ることができた。浅草の吾妻橋のたもとから。クリックで拡大(撮影:川口雅也)

朝霞市での観察風景

埼玉県朝霞市・黒目川沿いの川原では、日食めがねを手にした人々が集まった。クリックで拡大(撮影:ウェブニュース編集部)

日本では25年ぶり、国内の広い地域で見られるものとしては平安時代以来となった21日の金環日食。天文界の呼びかけもあって大きな注目を集め、日食めがねや撮影用フィルターなどの観察グッズのほとんどが完売となった。当日を前にした数日間はニュースや新聞などで連日日食の話題が取り上げられ、観察に関する注意喚起が行われた。

前日までの天気予想は「金環帯は曇り、それ以外は晴れ」というもので、晴れを求めて首都圏から関東北部に向かう天文ファンも。だが日食の時間帯になると、多くの地域では薄い雲越しや晴れ間に、部分食や金環食が目撃された。

埼玉県朝霞市の川沿いでは、ジョギング中の人々や付近の大学に通う学生らが日食めがねを手に集まり、金環食が始まる10分ほど前には「肌寒い」「薄暗くなった」という会話もちらほら。太陽のリングが徐々につながっていく様子を興奮気味に見守った。

金環帯の北限にある長野県の信州スカイパークでは、太陽光が月の地形の凹凸から漏れてリングがとぎれとぎれにつながる「ベイリーズビーズ」が1分前後観測された。

テレビでは東京で金環食となった7時半すぎの時間帯を中心に各局で実況生中継が行われた。当日のワイドショーやニュース番組では各地での観察や日食にちなんだイベントの様子のほか、今後注目の天文イベントとして6月6日の金星太陽面通過が紹介されるなど、街で、メディアで、これまでになく空に注目が集まる一日となった。

一方、残念ながら日食網膜症の疑いと診断された人についての報道も。目に違和感を感じる人は、すぐに眼科を受診しよう。

2012年夏にかけての主な注目イベント(「星空ガイド」より)
6月4日部分月食 宵のころに東の空で見られます。
6月6日金星の太陽面通過 朝から昼すぎにかけて全国で見られます。
8月12日前後ペルセウス座流星群 夏の風物詩ともいえる流れ星が見られます。
8月14日金星食 金星が月に隠され、また現れる、明け方の美しい現象です。

6月5日(火)発売!
星ナビ7月号は「金環日食を振り返る」大特集

月刊「星ナビ」7月号では、全国的に観測された金環日食・部分日食を特集。太陽のリングやベイリーズビーズの画像はもちろん、各地での観察会の模様など「日本中が空を見上げた一日」を様々な角度からレポートします。