バンアレン帯に出現した第3の放射線帯
【2013年3月5日 NASA (1)/(2)】
地球をとりまく二重構造の放射線領域「バンアレン帯」の外側のベルトに、第3の領域が一時的に出現した。幸運にも、探査機打ち上げわずか2日後の観測で見つかったものだ。
「バンアレン帯」は、地球を取り巻く二重構造の放射線領域だ。内側のベルトは地表から数百kmから約1万kmまでの領域に、外側は1万数千kmから数万kmまでの領域に広がっている。太陽嵐などの影響で大きく膨張する性質を持ち、膨張時には通信衛星やGPS、宇宙ステーションに滞在する宇宙飛行士達にも危険を及ぼす可能性がある。
そのバンアレン帯を調べるNASAの双子の探査機「RBSP」(放射帯嵐探査機)が2012年8月に打ち上げられた。打ち上げ2日後に観測装置の1つREPT(相対論的電子陽子望遠鏡)を早速稼働したところ、直前に起こった太陽フレアによりバンアレン帯がふくらんだ。この観測から、外側のベルトにはっきりと分かれた第3の放射線帯が出現していることがわかった。
4週間後に太陽からの強力な衝撃波で消滅するまで、RBSPはこの領域を観測し続けた。
今回の発見によって、バンアレン帯のダイナミックで変化に富む性質が明らかとなり、さらに太陽活動にどのように反応しているのかについても理解を深める成果が得られた。
今後の観測でも、宇宙天気への影響の研究や、太陽系内外の天体周囲で見られる基本的な物理プロセスの研究などに役立つデータが得られるはずだ。