次世代の材料を吹き飛ばす幼い星々

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【2013年7月26日 アルマ望遠鏡

アルマ望遠鏡の観測で、1150万光年彼方の銀河から大量の分子ガスが銀河の外に噴き出すようすがとらえられた。爆発的な勢いで次々と生まれる星が次世代の材料となるガスを押し出しているとみられる。


NGC 253の可視光画像と、その中心部から流れ出るガスの電波画像

ヨーロッパ南天天文台VISTA望遠鏡でとらえたNGC 253(左)と、その中心部から流れ出すガスをアルマ望遠鏡でとらえた画像(右)。クリックで拡大(提供:ESO/ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)/J. Emerson/VISTA Acknowledgment: Cambridge Astronomical Survey Unit)

ガス分布の詳細画像

ガス分布の詳細画像。一酸化炭素が放つ電波の強度を示している。星印の部分に巨大な若い星団があり、周囲のガスを矢印の方向に押し出していると考えられている。クリックで拡大(提供:ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), Alberto Bolatto, Univ. Maryland)

アルマ望遠鏡が1150万光年彼方のちょうこくしつ座銀河(NGC 253)を観測し、その中心部から低温の分子ガスが激しく銀河の外に噴き出しているようすを初めてはっきりととらえた。

この銀河は激しい勢いで星が次々と生まれる「スターバースト銀河」で、とても重い星が狭い範囲にひしめいている。これらの星が輝いている間に噴き出す粒子や光の圧力、そして最後を迎えるときの超新星爆発によって、次世代の星を作る材料となるガスが外に押し出されていると考えられる。

アルベルト・ボラットさん(米メリーランド大学)ら研究チームの推算によれば、この銀河からは毎年太陽10個分以上の質量のガスが放出されており、このペースだとわずか6000万年でガスが枯渇してしまう勢いだ。

スターバースト銀河から星の材料が大量に放出するようすを詳細にとらえた今回の観測成果は、実際に見つかっている超大質量銀河がシミュレーションの予測よりも少ないという問題を解決する糸口となるかもしれない。今後の課題は、流れ出したガスが再び銀河に戻って『リサイクル』されるのか、それとも完全に星の材料が失われてしまうのかを調べることだという。

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