アイソン彗星の核が太陽最接近でほぼ消滅

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【2013年11月29日 NASA

29日朝(日本時間)に太陽に最接近したアイソン彗星は、太陽からの強烈な熱を受け、彗星の核の部分がほぼ消えてしまったとみられている。12月以降に明け方の空で長い尾を見ることは、かなり難しくなった。


SOHOのLASCO C2にとらえられたアイソン彗星。核の部分は遮蔽版の向こうで見えない。下に尾が見える。クリックで動画再生(提供:NASA/SDO/ESA/SOHO/GSFC)

29日の朝4時ごろ(日本時間)、アイソン彗星(C/2012 S1)が太陽に最接近した。太陽最接近前後にはひじょうに強い熱や潮汐力を受けるため、彗星が溶けたり壊れたりしやすくなる。この太陽最接近を無事に乗り越えられるかどうか、世界中で注目されていた。

太陽観測衛星SOHOやSDO、STEREOから送られてきた画像によれば、アイソン彗星の核(氷や塵の塊)は、残念ながら消滅してしまった可能性が高いとみられている。最接近から数時間後の画像には明るい部分も見えているが、これは核ではないということだ。コマ(核を取り巻くガスの部分)や尾は残っているとみられ、彗星がすべてなくなってしまったわけではないが、今後明るくなったり長く伸びた尾が見えたりする可能性は小さいだろう。

「天文現象を自分の目で見たい」という天文ファン視点からはとても残念ではあるが、予想に対する検証や今後も続けられる科学観測の成果など「宇宙の謎に迫るのが面白い」という天文ファン視点からは、まだまだ楽しみは残っている。両方の視点を持ちながら、もうしばらくアイソン彗星を追いかけてみてはいかがだろうか。

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