マーズエクスプレスがとらえた、浸食で作られた美しい流線形の島々など
【2014年4月11日 ヨーロッパ宇宙機関】
火星探査機「マーズエクスプレス」が総延長164kmのオスガ峡谷の中央部分を昨年末に観測した。データから作成された画像には、浸食で作られたとみられる流線形の中州などがはっきりと浮かび上がっている。
ヨーロッパ宇宙機関(ESA)の火星探査機「マーズエクスプレス」による2013年12月7日の画像には、総延長164kmのオスガ峡谷の中央部分が見えている。オスガ峡谷は、マリネリス峡谷の東の端に位置する地形「エオスカオス」から南へ約170kmの距離に位置する。
画像に見られる景色の大部分は、ランダムな方向へと深く浸食された領域で、ほとんど占められている。美しい流線形の中州や狭い峡谷は、速い水の流れによって削りとられて作られたように見える。その流れは、広大なマリナー峡谷の南東縁近くにある小さな高原領域を走っていたものだ。
その一例が、画像の一番下に見られる深さ2.5kmのオスガ峡谷のくぼみだ。オスガ峡谷とそこに見られる特徴は、破壊的な洪水によって激しく浸食して作られたと考えられている。
峡谷中の中州の周りに見られる流線形は、水が北東へと流れたことを示しており、 河床に見られる幅の狭い平行な溝は、水が高速で流れていたことを示唆している。
(画像中上へと向かう)水の流れの方向に合わせた俯瞰図(画像2枚目)では、溝のある谷底の詳細と、峡谷がよりはっきりと中州になっているようすがわかる。
峡谷のもっとも北側に近い部分(1枚目画像中、右端)には、2つの大きな不規則な角張った形をした領域があり、同領域も周囲の環境によって破壊されたように見えているが、削りとられて丸いカーブを描く中州と同じくらいの強い浸食は経験してはいないようだ。
なお、洪水の水は、カオス地形の深いくぼみに流れ込んだはずだなのだが、水が他へ流れ出たか、または一時的に湖を形成したかはまだわかっていない。