中心部ほど若い星々が存在する2つの星団
【2014年5月9日 NASA/X線天文衛星チャンドラ】
X線天文衛星「チャンドラ」などによる2つの星団の観測から、星団の中心部の星々が外縁部に比べてより若いことがわかった。星団の星形成はまず中心部から始まるという従来の理論に反する結果となっている。
星団に属する星々は、ガスと塵の巨大な雲から生まれる。雲の濃い部分に周囲の物質が重力でさらに集まり、高温になって星が輝き始める。こうしたプロセスがまず雲の中心部で始まるのなら、星団の中心部には早い段階で生まれた古い星々が位置すると考えるのが自然だ。だが今回、この従来の理論と相反する観測結果が発表された。
Konstantin Getmanさん(米・ペンシルバニア州立大学)らは、火炎星雲(NGC 2024)とオリオン座大星雲にある星団(オリオン星雲星団)をX線と赤外線で観測し、恒星の年齢分布を探った。これらの星団では、太陽と同じタイプの星が形成されている。
すると、NGC 2024の星団では中心部の星は形成からおよそ20万年、外縁部では150万年経っていることがわかった。またオリオン星雲星団では、中心部が120万年、外縁部で200万年という結果になった。限られたサンプルの調査から同様の結果が出たことは以前にもあったが、確実な観測結果としては初めての例となる。
こうした年齢分布になった経緯として考えられるのは、(1)ガス雲の濃い中心部では、星の材料が尽きずに新しい星を生み出し続けることができる(2)古い星が時間とともに移動して外縁部に位置した(3)巨大なガスのフィラメントの中で生まれた幼い星が中心部に引き込まれた、といったことが挙げられるという。
研究チームでは次のステップとして、同様の年齢分布を示す他の星団を探す予定だという。